DJIがOsmo Actionシリーズの最新モデル「Action 6」を発表したことで、車載カメラの選択肢が大きく広がることとなった。
従来のAction 4、Action 5 Proに加え、より高い画質や安定性を謳うAction 6が登場したことで、「どれを選べば後悔しないのか」と悩むユーザーは少なくないだろう。なにせ筆者自身もAction 5Proを購入した時に4と5Proで頭を悩ませたからだ。
モータースポーツの車載撮影は特殊であり、一般的なアクションカメラの比較基準がそのまま使えないためだ。
サーキット走行会の30分枠、ラリーのレッキやSS走行、ジムカーナのアタック、さらには6〜12時間規模の耐久レース、あるいはカートなどでのヘルメットマウントなど、求められる性能が一般的なアクションカメラ撮影とはまったく異なる。
夏場の車内は50〜60℃に達し、高温にさらされながら走行振動に耐え、暗所や逆光を正しく捉え、高品質な映像として残す必要がある。
この過酷な条件に耐えられるかどうかが車載カメラ選びの最重要ポイントとなる。この記事ではDJI Osmo Actionシリーズの3モデルの特徴と用途別の最適解を解説していく。
目次(クリックでジャンプ)
結論|基本的にはAction 4で十分、耐久レースなら5 Pro、夜間走行するなら6
まず先に結論をまとめてしまおう。
全般(サーキットレース/走行会・ジムカーナ・ラリー)→ Action 4
Action 4はシリーズ最軽量で、車載・ヘルメットどちらにも扱いやすい。
さらに暗所性能も「1/1.3インチセンサー」で十分強く、昼〜夕方の撮影では必要十分である。
コスパ・扱いやすさ・発熱耐性のバランスが最も優れており、車載カメラの基本として選ぶならAction 4が最適解となる。
耐久レース → Action 5 Pro
発熱耐性はAction 6と同等で、4K60fpsでも110分以上の連続撮影が可能である。
長時間の録画が求められる耐久レースでも、5 Proで十分戦える性能となっている。
また価格面でも値下げが入りやすく、4.5万円以下で購入できるタイミングがあれば非常に強力な選択肢となる。
ナイトレース・暗所 → Action 6
Action 6の最大の特徴は「1/1.1インチセンサー」を搭載している点である。
これはシリーズ中で最も大きなセンサーであり、低照度でのノイズ耐性や階調保持で頭ひとつ抜けている。
夜間ステージのラリー、ナイト走行会、トンネルが連続する山岳コースなど、暗所での優位性はAction 6が明確な強みとなる。
格安アクションカムがNGな理由|ダイナミックレンジとレンズ収差の弱さ
まず、大前提として「安い中華アクションカムで車載は可能か?」という質問に答えておく。
答えは 「撮影は可能だが不十分」 である。
理由はシンプルに以下の2点に集約される。
ダイナミックレンジの狭さ
安価なアクションカムはセンサー性能が極端に低いため、明暗差が大きいシーンで白飛びや黒潰れが頻発する。
- 逆光の立ち上がり
- トンネルの出口
- 日陰から日向への遷移
- 夕方の路面反射
モータースポーツではこれらの瞬間が頻繁に発生するため、映像が破綻しやすく、実用的とは言い難い。
レンズ収差が大きい
車載は常に振動を受け続けるため、格安カメラの弱いレンズでは
- パープルフリンジ
- 歪み
- 色ズレ
といった問題が顕著になる。
スピード感を記録するために撮っているのに、レンズ収差による画質劣化で台無しになることも多い。
この2点だけでも、格安アクションカムが車載に向かないのは明らかである。
2025年現在だと格安のアクションカムで撮影するならば、スマートフォンの動画撮影機能でも同等かそれ以上の撮影が可能だ。
結果として、車載用途でカメラを買う場合の最低ラインは DJIかGoPro ということになる。
GoProではなくDJIを選ぶべき理由|発熱問題が決定的
GoProも魅力的な選択肢だが、モータースポーツの車載に限ると決定的な弱点が存在する。
GoProは高温環境で録画停止しやすい
4K60fpsやHyperSmooth ON時、夏場の車内環境では15〜20分で停止することも珍しくない。これはユーザーの間でも広く知られた問題で、GoProの宿命ともいえる仕様だ。
DJIは全モデルで発熱に強い
Action 4、Action 5 Pro、Action 6のいずれも高温環境での停止報告が少なく、公式の連続撮影時間でも100分超えを保証している。
耐久レースにおいて「止まらない」信頼は極めて重要である。
→ 結果として、車載用途ではDJIが安定した選択肢となる。
スペック比較
| 項目 | Osmo Action 6 | Osmo Action 5 Pro | Osmo Action 4 |
| センサーサイズ | 1/1.1インチ | 1/1.3インチ | 1/1.3インチ |
| 有効画素数 | 1000万画素(広角時) | 1000万画素 | 1000万画素 |
| 動画最大解像度 | 4K120 / 4K60 | 4K120 / 4K60 | 4K120 / 4K60 |
| ダイナミックレンジ | 最も広い(大型センサー) | 標準的 | 標準的 |
| 暗所性能 | ◎(シリーズ最強) | ○(4と同等) | ○(5 Proと同等) |
| 駆動時間 1080p/24fp撮影時 | 240分 | 240分 | 160分 |
| バッテリー容量 | 1950mAh | 1950mAh | 1770mAh |
| 耐熱性 | 5 Proと同等 | 6と同等 | 実用十分 |
| 本体重量 | 約149g | 約146g | 約145g |
| サイズ(幅×高×奥) | 72.8 × 47.2 × 33.0 mm | 70.5 × 44.2 × 32.8 mm | 70.5 × 44.2 × 32.8 mm |
| 価格帯(発売時) | 約6.0万円 | 約5.5万円 | 約4.4万円 |
車載用途で重視すべき4項目の詳細解説
モータースポーツの車載撮影では、一般的なアクションカメラ評価とは優先順位が大きく異なる。サーキット・ジムカーナ・ラリーといった高温・高振動の環境では、次の4つが最も重要な要素となる。
1. 発熱耐性|真夏の車内でも止まらないか
車内は夏場に50〜60℃へ達しやすく、熱停止は最も致命的なトラブルである。録画が途中で止まればデータとしての価値はゼロとなり、とくに耐久レースでは“止まらないこと”が何より重要となる。
2. 長時間録画|走行枠30分〜耐久1〜3時間の連続撮影に耐えられるか
20分枠の走行会でも入退場を含めれば30分近く録画が必要となり、耐久レースでは1時間以上の連続撮影が当たり前である。高画質でも途中で止まるカメラは車載用途では使えない。
3. 手ブレ補正と振動耐性|複雑な振動をどう処理するか
車載は“上下・前後・左右”の異なる振動が混ざり合い、手持ち撮影とはまったく異なる負荷がかかる。吸盤・ロールケージ・ヘルメットの各マウントで伝わる振動も違うため、それをどこまで補正できるかが映像の観やすさにつながる。
ただし目的により最適設定は変わる。筆者は走行分析用として手ブレ補正OFFで撮ることが多いが、視聴者向け映像を作るなら補正ONが有効となる。分析用か、コンテンツ用かで最適解が変わるのがポイントである。
4. 暗所・逆光耐性|トンネル・夕方・日陰で差が出る階調の粘り
モータースポーツでは光環境が急変しやすい。トンネルの入口と出口、夕暮れのサーキット、日陰から日向への遷移など、明暗差が大きい場面ではカメラ性能が露骨に出る。階調が粘るカメラは白飛びや黒潰れを防ぎ、走行状況をより正確に残せるため、ナイトレースやラリーでは特に重要となる。
各モデルの特徴と車載適性の総まとめ
Action 6|暗所に最強、全体は堅実な進化
暗所性能だけを見ればシリーズ最強である。
ナイトステージや夕暮れの走行を多く撮る人には理想的なモデルとなる。
ただし、車載用途において6が5 Proより明確に優位になるポイントは「暗所」のみである。
耐熱・振動・手ブレの面では実質同格で、車載用途では大きな差が生まれにくい。
Action 5 Pro|4.5万円以下ならベストバイの耐久向けモデル
発熱耐性は6と同等で、耐久レースでの運用にも耐えられる性能となる。
暗所性能は4と同等で十分高く、価格が落ちてくれば非常に魅力的な存在になる。
筆者自身もこのモデルを使用しており、夏場のサーキット撮影でも停止した経験はない。
4K60fps連続撮影でも安心して使えるだけの安定性がある。
Action 4|最軽量・万能・最適解
暗所は5 Proと同格で、昼〜夕方の走行なら不足を感じる場面はほぼない。
最軽量で、ヘルメットマウントの取り回しが圧倒的に良い。
「初めての車載カメラ」として最高の選択肢である。
用途別おすすめまとめ
- 全般(走行会・ジムカーナ・ラリー)→ Action 4
- 耐久レース → Action 5 Pro
- ナイトレース → Action 6
- ヘルメットマウント → Action 4
最終まとめ|車載カメラで後悔したくないなら「用途」で選ぶ
モータースポーツの車載撮影では、「最新モデル」=「最適解」ではない。
大切なのは 用途に合わせて最適な1台を選ぶこと である。
- 全般なら Action 4(軽い・安定・万能)
- 耐久レースなら Action 5 Pro(発熱に強くコスパ良し)
- ナイトレースなら Action 6(暗所最強)
筆者自身、Action 5 Proを愛用しつつ、「どのモデルを選べば後悔しないか?」という視点で比較を続けているが、今回の結論は上記に尽きるだろう。正直、私も耐久レースに出る事がないので4のほうがコスパは良かったなと思うことはある。ただし、5 Pro の内部ストレージや発熱耐性の安心感は今でも大きな魅力である。
もしさらに細かい設定やマウントの選び方、走行会での映像の撮り方などを深掘りしたい場合は、続編記事としてまとめていこうと思う。
























































































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