「もっと速くなりたい」「あと少しでベスト更新だったのに」──レンタルカートの体験走行を終えたあなたがそんな気持ちを抱いたなら、もう立派な“走りの沼”に足を踏み入れているだろう。 モータースポーツの世界は、一度その楽しさを知ってしまうと簡単には抜け出せない奥深さがある。そんなあなたに次のステップとして強くおすすめしたいのが「会員走行」である。
これは、レンタルカート場の会員になることで、よりお得に・より頻繁に・より効率的にスキルアップを目指せる方法である。走れば走るほど割安になり、成長のスピードも加速していく。レース出場を見据える人にとっては、最初のステップアップといえるだろう。
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会員になるとどれくらいお得なのか?
多くのレンタルカート場では、独自の会員制度を導入しており、入会金を支払うことで走行料金が割引される仕組みとなっている。たとえば、非会員が10周走行する場合、1回あたり3,200円程度かかるのに対し、会員になると約半額の1,600円で走行できるケースもある。
仮に毎月1度20周を1年間走行した場合、非会員と会員での年間コストは次のとおりである。
- 非会員:3,200円(10周)×2回×12ヶ月=76,800円
- 会員 :入会金12,000円 + 1,600円(10周)×2回×12ヶ月=50,400円
この試算では、年間で26,000円以上の差が生まれる。走行回数が増えるほど、この差はさらに広がっていく。つまり、月に1回程度の走行でも、1年間で簡単に元が取れるのが会員制度の魅力である。
全国主要カート場の会員料金相場
実際にかかる費用感をイメージしやすいよう、全国の代表的なレンタルカート場の会員制度をいくつか紹介する。
施設名 | 入会金(税込) | 年会費(税込) |
新千歳モーターランド | なし | 16,500円(1年間有効) |
スポーツランドSUGO 〈西コース〉 | なし | 5,800円(1年間有効) |
クイック羽生 | 3,240円(初回) | 10,800円(年度ごと) |
F.ドリーム平塚 | 2,000円 | 10,000円(個人会員・年会費) |
石野サーキット | 12,000円(新規) | 10,000円(更新・年会費) |
レインボースポーツカートコース (三重) | なし | 12,000円(1年間有効) |
ISK大阪舞洲(舞洲インドア) | なし | 初年度3,000円(2年目以降1,500円) |
北九州カートウェイ | 3,000円(新規) | 1,000円(更新時) |
ソニックパーク安心院 | 3,300円 | 1,100円 |
カートランド四国 | なし | (月額3,850円のサブスク制) |
※2025年6月時点の参考情報。価格は施設により変動する場合があるため、事前確認を推奨する。
入会金と年会費を合わせたの平均額は約10,000〜17,000円ほど、走行料金は、会員になると30〜50%ほど割引されるのが一般的である。
学生でも通える?会員登録の手続き
会員登録は、多くの施設で当日受付が可能である。必要なものは、身分証と入会金のみであり、手続きもシンプルである。中学生や高校生でも登録できる施設もあり、学生にとっても現実的な趣味となる。
高校生であれば、月5,000円程度のアルバイト収入でも十分に継続できる範囲といえる。交通費を含めても、外食や娯楽を控えればモータースポーツに触れる生活が実現可能である。
会員走行を活かすための基本アドバイス
年間5万円とはいえ、決して安い金額ではない。せっかくなら効率的にスキルアップしたいと考えるのが当然である。そこで、会員走行を最大限に活かすための基本的なアドバイスをいくつか紹介する。
1. 予算や周回数の上限を設定する
ダラダラと走るのは効率的ではない。たとえば「今日は20周まで」と決め、その中でベストタイムの更新や課題の克服を目指すことで、集中力が高まる。目標を達成できなかったとしても、上限に達したら潔く撤収する姿勢が上達の近道となる。
2. 他の人の走りを観察する
サーキットでは、他人の走行を見ることも貴重な学習機会となる。速い人のライン取り、ブレーキングポイント、ステアリング操作、体の使い方などを観察し、良い部分を積極的に取り入れよう。カートは操作が外からでも見えやすいため、他人の走りから学べることが多いのが特徴である。
3. イメージトレーニングを取り入れる
観察で得た情報は、イメージトレーニングを通じて自分の中に落とし込もう。操作の流れを頭の中でシミュレーションすることで、実際の走行時にもスムーズな動きが可能となる。再現度の高さが速さに直結するのが、モータースポーツの奥深い点である。イメージできない動きは、現実でも再現できないという原則を意識して取り組みたい。
4. 走行装備の準備を検討する
通う回数が増えてきたら、マイグローブやマイヘルメットなどの装備をそろえるのも一つの手段である。施設の貸出備品は汎用サイズであり、フィット感や衛生面に不安を感じることもある。自分専用の装備を持つことで、快適さや安全性が向上し、集中力の維持にもつながるだろう。
5.友達にスマートフォンで走行動画を撮ってもらう
だれか友人をレンタルカート場に連れて行けるなら、走っている姿をスマートフォンで撮影してもらうと、走行ラインなどの振り返りが後からできるようになる。同時に速い人の動画も撮っておくと比較できるので分析がはかどる。金銭的に余裕があるならアクションカメラを購入してヘルメット固定するのも良い。より走行中の視点に近い位置から振り返りができるようになる。
6. やみくもに走るのは避ける
「たくさん走れば上手くなる」と思い込み、無計画に走り続けるのは逆効果である。計画をたて、上手な人の走りを観察し、イメージトレーニング欠かさず、トライアンドエラーを積み重ねていくのが、結果として速くなる一番の近道なのだ。
次のステップへ進む目安とは?
会員走行で技術を磨いていくと、やがて「タイムが頭打ちになってきた」と感じる場面が訪れる。これはスランプではなく、次のステップへ進むサインでもある。
たとえば、以下のような状況が続く場合は、レース出場を視野に入れてよい目安といえる。
- 自己ベスト更新が3回連続で止まっている
- 毎回の走行で大きなミスはなくなってきた
- 複数台が同時に走る混走状態でも冷静に対応できるようになった
- 「誰かと競ってみたい」と自然に思うようになった
レースでは、タイム以上に駆け引きやメンタルの強さが問われる。その経験は、走りの質をさらに一段引き上げるきっかけとなるだろう。上達が停滞していると感じたら、あえて“競う環境”に身を置いてみるのも効果的な選択肢である。
まとめ|会員走行は最もコスパの良い練習法
会員制度を活用すれば、限られた予算でも効率よく練習を積み重ねることができる。走行料金の割引に加え、タイム記録や限定枠など、モチベーションを高める要素も多い。初心者でも継続しやすい価格帯である点も魅力である。
そしてなにより、走る回数が増えるほど、あなたの技術は確実に向上する。
「もっと速くなりたい」「一緒に走ったあの人に勝ちたい」──そんな気持ちが芽生えたら、次に目指すべきはレンタルカートレースへの参加である。
次回の記事では、初心者でも参加できるレースの種類や、当日の流れ、注意点について詳しく解説する。
▶【次の記事】レンタルカートレース参加|初心者でも安心して挑戦できる実戦の舞台
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