サーキット走行やレースの準備で、最も神経を使うのが「忘れ物」である。
ヘルメット、レーシングスーツ、グローブ、シューズ、バラクラバ。どれか一つでも欠ければ、その日の走行は成立しない。装備はいずれも命を守る重要なアイテムであり、代替がきかないものばかりだ。
それにもかかわらず、装備を個別に保管していると、準備のたびに「前回どこにしまったか」を思い出す作業が発生する。本当にすべてそろっているのかを確認するために、家中を探し回ることになる。この確認作業そのものがストレスとなり、忘れ物のリスクを高めてしまう。
筆者自身も、過去にバラクラバやレーシングシューズを忘れて現地で困った経験がある。原因は単純で、装備を一か所にまとめて管理していなかったことに尽きる。
この問題を根本から解決するためにたどり着いたのが、「レーシングキャリーバッグで装備をすべてひとまとめにする」という方法だった。
装備を集約して管理すれば、バッグを開くだけで持ち物を一目で確認できる。収納位置を固定化することで準備動作が習慣化され、レース前の不安や焦りが大きく軽減される。準備の質が安定することで、走行そのものに集中できる環境が整う。
この記事では、筆者が実際に使用しているレーシングキャリーバッグ「PROTEX Racing R-2」の中身をすべて公開する。ヘルメットやレーシングスーツ、HANSデバイスを含む装備一式の収納方法と管理の工夫を、実体験ベースで詳しく紹介していく。
目次(クリックでジャンプ)
結論|キャリーバッグでひとまとめ管理すれば、忘れ物の不安から解消される

レーシングキャリーバッグで装備をひとまとめに管理することで、忘れ物の不安から解放される。
これは単なる収納の話ではなく、「準備の質」を根本から変える方法である。
装備をひとまとめに管理する最大の利点は、「どこに何があるかを考えなくて済む」ことにある。
個別に保管していると、準備のたびにあちこちを確認し、「本当に全部そろっているのか?」という不安に駆られる。この確認の手間と心理的ストレスこそが、忘れ物の温床である。
キャリーバッグに装備を集約すれば、バッグを開くだけで中身を一目で確認できる。収納位置を固定化することで、動作が習慣化され、準備が自動化される。精神的にも余裕が生まれ、レース前夜に焦ることがなくなる。
ただし、ヘルメットやスーツなどを安全に収納できるレーシングキャリーバッグ自体の選択肢は多くない。ここからは、筆者が愛用するキャリーバッグの特徴と、その中身を詳しく見ていこうと思う。
レーシングキャリーバッグ
使用モデル:PROTEX Racing R-2

ヘルメット収納を前提に設計されたレーシング専用キャリーバッグ。約5万円で購入。
耐久性と堅牢さに優れ、キャスター付きで持ち運びも容易である。
他の一般的なトラベルキャリーではヘルメットが入らないことも多く、このモデルを選んだ最大の理由はヘルメットを収納するための専用設計になっている安心感からだ。
一方で、ヘルメットを収納するとスペースの半分が埋まってしまい、他の装備の収納には少し工夫が必要となる。次の章では筆者の収納方法を紹介する。
収納方法
ヘルメット
上段の収納スペースにPROTEX Racing R-2に付属するネットで固定。
- ヘルメット

交換用シールドバイザー
収納したヘルメット上部のネットの隙間に挟む。
- 交換用シールドバイザー

予備の装備品
下段の収納スペースの一番下にスーツ付属袋に下記を詰めて収納。
- レーシングスーツ
- レーシンググローブ
- バラクラバ
- アンダーウェア(上・下・ソックス)

メインの装備品
下段の収納スペースの予備の装備品の上にスーツ付属袋に下記を詰めて収納。
- レーシングスーツ
- レーシンググローブ
- バラクラバ
- アンダーウェア(上・下・ソックス)

Hansデバイス
下段の収納スペースのメインの装備品の上にHans付属袋に入れて収納。
- Hansデバイス

レーシングシューズ
下段の収納スペースの一番上に巾着袋に入れて収納。
- レーシングシューズ

上蓋上部の収納ポケット
上蓋側の収納ポケットの上側はヘルメットの緩衝材代わりにタオルを収納。汗に濡れた装備品を入れるためにビニール袋も常備してある。
- タオル
- ゴミ袋

上蓋下部の収納ポケット
上蓋側の収納ポケットの下側はタオル以外の小物を収納。
- 折り畳みハンガー
- ヘルメットメンテナンスキット
- 予備のヘルメットパーツ(バイザー固定用のネジなど)

筆者の使っている装備品紹介
ヘルメット
使用モデル:アライ(Arai) GP-6

FIA・Snell規格対応の定番モデル。フィット感が高く、長時間走行でも安定した被り心地を維持できる。通気性も非常に高く、走行中のシールドバイザーも曇りにくい。
補完する時はシリカクリンをセットで収納しておくことで湿気対策にもなる。
ヘルメット本体114,400円、Hansアンカー13,200円、塗装代50,000円と、総額では高価だが安全性を最優先に選んだ一品である。
交換用シールドバイザー(晴天用・雨天用)
使用モデル:アライ GP-6 シールド スモーク

直射日光下のサーキット走行では必須の装備。約9千円で購入。
ミラーコート無しのスモークであれば、晴天時から曇天時まで問題なく使用できす。
通常は、このスモークタイプをヘルメットに装着している。雨が降った時はクリアタイプに付けかえる。
▶関連記事:「バイザーシールド買い替え|走行時の視界と集中力を守るヘルメット装備」
使用モデル:アライ GP-6 ダブルレンズ シールド クリアー

雨天時に欠かせないクリアタイプ。約1.2万円で購入。
曇り止め性能が高く、安定した視界を確保できる。
こちらもスモーク同様、購入時の袋に収納。今後は専用ケースの導入を検討中である。
ヘルメットメンテナンスキット
自作:クロス・スポンジ・中性洗剤・消臭剤のセット

市販品ではなく、自作で最適な組み合わせを作成。総額1000円ほど。
中性洗剤と消臭剤は小型の詰め替えボトルに入れ替え、巾着袋にまとめている。
使用後は上蓋側の収納ポケットに入れ、すぐに取り出せるようにしている。
レース後の清掃・乾燥を怠ると劣化が早まるため、毎回必ず手入れをするのがルーティンとなっている。
- ▶関連記事:「四輪ヘルメットのメンテナンスと保管方法【10年愛用するコツ!】」
バラクラバ
使用モデル:RW-4 GUARD

バラクラバの中では薄手のモデル。約9千円で購入。
洗い替え用として土曜用・日曜用の2枚を用意。旧規格品は練習用として再利用している。
収納はスーツ購入時の袋にまとめ、常に同じ場所に戻すことで忘れ物を防止している。
ハンスデバイス
使用モデル:Stand 21 Hi-Tec Series 角度30°

軽量かつ高剛性で、首回りの負担を軽減。約15万円で購入。
着用時の安定感が高く、長時間の走行でも疲れにくい。
購入時の巾着袋に入れて保管しており、耐衝撃性のある位置に収納するよう注意している。
レーシンググローブ
使用モデル:SPARCO ARROW

3次元的な縫製処理でフィット感が良く、ステアリング操作の精度が上がる。約3.3万円で購入。
唯一の弱点はグリップ素材が剥がれやすい点。
スーツ購入時の収納袋に入れて管理しており、使用後は乾燥を徹底する。
- ▶関連記事:「レーシンググローブの選び方|FIA規格の有無よりも機能で選ぼう」
レーシングシューズ
使用モデル:SPARCO X-LIGHT+

くつ下タイプのレーシングシューズでとにかく軽量。約9万円で購入。
ソールの素材も硬すぎず柔らか過ぎず絶妙、アクセル・ブレーキの操作フィーリングが直感的に伝わる。
軽量で通気性も高く、長時間履いていても疲れにくい。
購入時の巾着袋に収納し、キャリーバッグ下段の一番上部の空間に収納している。
- ▶関連記事:「レーシングシューズの選び方|カテゴリー別おすすめ」
レーシングスーツ(本番用)
使用モデル:Firelex(セミオーダー)

自分の体型に合わせて仕立てた特注スーツ。約34万円で購入。
サイズがぴったりで、走行中の動きに一切の違和感がない。
軽量で通気性も高く、炎天下のサーキットでも比較的快適に過ごせる。
一方で、生地の表面の耐久性はやや低め。ほつれやすいため、練習用との併用で寿命を延ばしている。
レーシングスーツ(練習用)
使用モデル:SPARCO X-LIGHT COOL

旧規格品ながらも着心地は過去イチ。
練習走行や雨天時の走行用に以前にメインで使っていた旧規格品をキャリーケースに入れている。セール価格(約10万円)で購入。
練習用として割り切って使うことで、本番スーツの消耗を防いでいる。
- ▶関連記事:「モータースポーツの服装ガイド|カテゴリー別おすすめ紹介」
アンダーウェア(上・下・ソックス)
使用モデル:RW-4 GUARD(上・下)、ソックスはモデル不明

アンダーウェアの種類の中では薄手のタイプ。合計約4.5万円。
上・下・ソックスすべて土曜用と日曜用の2セット体制で運用。
旧規格品は練習用として再利用し、収納袋にセットで保管している。
折り畳みハンガー

コンパクトに折り畳めるタイプを使用。
キャリーバッグ上蓋側の収納ポケットに入れておき、サーキットではバラクラバやアンダーウェアを干す際に活用している。
特に連日走行時は乾燥スペースの確保が難しいため、この小物が意外と役立つ。
タオル一式
走行後の汗拭き用として、土曜用、日曜用、予備の3枚を常備。
サーキット走行はとにかく汗をかくので複数枚は必ず準備しておく。
収納場所はキャリーバッグの上蓋の収納ポケット。出し入れしやすい位置であると同時に、ヘルメットの緩衝材としても機能する。
注意点|普段着は別のカバンにまとめる
PROTEX Racing R-2のレーシングキャリーバッグは上記の装備を入れると満杯になる。
普段着や日用品は別バッグに分けておく必要がある。もっとも予備のレーシングスーツを入れなければ、そのスペースに2泊分くらいの着替えは入れられるので、どちらかを選択することになる。
まとめ|準備の質が走りの質を変える
レーシングキャリーバッグに装備をひとまとめにして管理することで、忘れ物の不安から解放される。
それだけでなく、装備の劣化防止や準備効率の向上にもつながる。
走る前の準備時間を短縮し、走行そのものに集中できることは、結果的にタイムアップにも直結する。
「準備の質=走りの質」
この意識を持って道具を整えることが、モータースポーツを長く続けるうえで欠かせない要素である。
今回、この記事を書くにあたって、キャリーケースに入っている道具一式の金額を計算したところ・・・総額が約100万円だった。
約20年かけて買い足したり買い替えたりした総額ではあるが、装備品に対する信頼感は間違いなくタイムアップに貢献している。モータースポーツを続けるうえで、少額でも装備への投資を欠かさない姿勢が重要である。































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