冬のサーキットは、とにかく寒い。
気温が低いのはもちろん、広い平地に風が吹き抜け、地面からの冷気も強い。観戦でも走行でも、油断するとあっという間に体温が奪われてしまう環境だ。
特にモータースポーツは、**「待ち時間が長いスポーツ」**である。観戦席でじっと動かない時間、出走前の待機時間、パドックでの作業時間など、寒さを我慢する場面は多い。その寒さが集中力を削り、パフォーマンスの低下や体調不良につながることは多い。
この記事では、観戦・手伝い・ドライバーの3つの立場に分けて、冬のモータースポーツを快適に楽しむための防寒対策を詳しく紹介する。まずは全員に共通する“マストアイテム”から解説していく。
目次(クリックでジャンプ)
結論|寒さ対策は「重ね着+発熱アイテム+保温アイテム」の3軸で決まる
冬のモータースポーツは、とにかく冷える。
そのため、防寒対策は次の3つを組み合わせることが基本となる。
- ①重ね着(レイヤリング)で熱を逃がさない
- ②発熱アイテムで体の中心を温める
- ③保温アイテムで外気から身を守る
特に、必ず持っておきたいのが次の4つである。
- ニット帽
- ネックウォーマー
- ハクキンカイロ
- 魔法瓶
この4つがあるかどうかで、冬のサーキットの快適さが劇的に変わる。シーン別に紹介していく。
どんなシーンでも持っておきたい防寒アイテム
ニット帽|体温の30%は頭から奪われると言われる
サーキットは風が吹き抜けるため、耳と頭がかなり冷える。ニット帽を被るだけで体感温度が数度変わると言われている。薄手タイプならヘルメット着脱の邪魔にならず、観戦でも作業でも使いやすい。
ネックウォーマー|首の冷えは全身の冷えにつながる
首には太い血管が集まり、冷えると全身が冷えやすくなる。
フリース素材やウール素材など、保温性の高いものを選ぶと効果的。観戦者だけでなく、ピット作業時にもあると便利だと思う。
ハクキンカイロ|通常のカイロを圧倒する発熱量
冬のサーキットで圧倒的に便利なのがハクキンカイロである。使い捨てカイロより暖かく、発熱時間も長い。ポケットに忍ばせておいて、指先が冷えた時にハクキンカイロを触って温める。これだけで、寒さの辛さが大きく変わる。何度でも繰り返し使えるため1個持っておくと重宝する。
サーモボトル|温かい飲み物で内側から体を温める
冬のサーキットは、温かい飲み物をすぐに入手できないことが多い。サーモボトルがあれば、体の内側からしっかり温めることができる。中にはお湯を入れるのがおすすめだ。筆者は現地で買ったスポーツドリンクをお湯で割って飲むことが多い。
観戦・手伝いで必要な防寒アイテム
貼るカイロ|腰・腹・背中に貼ると効果が高い
観戦や手伝いでは、動かない時間が圧倒的に多い。そのため貼るカイロが非常に有効。
おすすめの貼り場所は下記の4か所
- 背中(肩甲骨)
- お腹(へその下)
- 腰・尾骶骨あたり
- 足の付け根(太ももの付け根)
この中から服装に応じて2~3枚貼るだけで体感温度がかなり変わる。貼りすぎると逆に低温やけどのリスクがあるため注意したい。
ヒートテック系インナー|吸湿発熱は観戦向きだが汗冷えには注意
ユニクロのヒートテックが代表格となっている吸湿発熱素材は、動かない観戦者にとっては最適だと思う。ただし、作業や軽い走行をする場合は汗冷えが起こりやすい。風を受ける環境では行動量に合わせて使い分けたい。
ダウンジャケット|風を遮断し体温を逃がさない最強アウター
冬のサーキットでは、ダウンジャケットが圧倒的に強い。
とにかく“風を通さないこと”が重要であり、ダウンはその点で最適解となる。撥水タイプであれば、雪や小雨の環境でも活躍する。カラダを動かしたり作業する場合はショート丈、観戦の場合はロング丈を準備するのがおすすめだ。
電熱ベスト|動きが少ない人ほど効果が高い
モバイルバッテリーで発熱する電熱ベストは、観戦・オフィシャル・メカニックに特に人気のアイテムである。驚くほど暖かく、1枚あるだけで別次元の快適さとなる。汗をかいた後でも冷えにくい点が優れている。
ドライバー向け防寒対策(走行前後)
レーシングスーツ|防風性が高く冬は“防寒着”としても優秀
意外かもしれないが、レーシングスーツは防風性に優れる。
冬のパドックは風をさえぎるものが少なく、外気にさらされやすい。その中でスーツは外気の侵入を抑え、体温を逃がしにくい。とはいえ、着たまま長時間待機すると汗冷えしやすいため、後述のベンチコートと併用するのが理想である。
FIA公認アンダーウェア(上下)|難燃+保温を両立した冬の最強レイヤー
FIA公認アンダーは難燃性能だけでなく、保温性にも優れている。ノーメックス(Nomex)やアラミド繊維は空気の層を作りやすく、しっかり暖かい。
実際、冬場のドライバー装備としては “レーシングスーツ+FIAアンダー” の組み合わせが最も暖かい。多くのドライバーがこの組み合わせを基本装備としている。
ヒートテックなどの化学繊維は熱で溶ける危険があるため、走行には絶対に使用できない。アンダーウェアは上下セットで揃えることで保温ムラがなく、汗冷えもしにくい。
冬期にドライバーとしてサーキットに向かう時は、自宅や宿泊先から着ていく事もある。
ベンチコート|出走直前の体温低下を防ぐプロ仕様の装備
プロチームでも必ず採用されているのがロングのベンチコートである。
スーツの上から羽織るだけで、走行前後の体温低下を防げる。特に出走直前の冷えは集中力の低下を招くため、冬場は必須装備となる。
まとめ|冬のモタスポは“準備した者”が最後まで楽しめる
冬のモータースポーツは、想像以上に寒い。
その寒さに負けないためには、
- 共通アイテム(ニット帽・ネックウォーマー・ハクキンカイロ・魔法瓶)
- 観戦・手伝いの追加装備(貼るカイロ・ヒートテック・ダウン・電熱ベスト)
- ドライバー装備(レーシングスーツ+FIAアンダー+ベンチコート)
これらを揃えると冬のモータースポーツの快適さが劇的に変わるだろう。
冬のサーキットは、準備次第で快適にも過酷にもなる。しっかり防寒して挑めば、観戦も走行も存分に楽しめるだろう。

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