久しぶりに札幌雪まつりを見に行った。最後に訪れたのは、記憶にないほど昔のことだ。もともと札幌雪まつりは観光客向けのイベントであり、地元民が足を運ぶことは少ない。しかし、今回は久しぶりに札幌に帰ってきたこともあり、観光客気分で見に行くことにした。会場を歩いていると、企業が制作した雪像の多くがアニメ作品を題材にしていることに驚いた。


今やアニメは日本を代表する産業であり、社会に大きな影響を与える作品も少なくない。実際、私がクルマ好きになったきっかけも、映像作品の影響によるものだった。そこで今回は、モータースポーツやクルマを題材にした映像作品をしょうかいし紹介しながら、モータースポーツにおける映像作品の重要性について考えていこうと思う。
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私が車好きになったきっかけ
私がクルマに目覚めたのは、幼稚園のころにさかのぼる。両親は特別クルマ好きではなかったため、親の影響を受けたわけではない。しかし、両親が見ていた海外ドラマが、私がクルマ好きになる最初のきっかけとなった。
ナイトライダー
「ナイトライダー」は、1982年から放送されたアメリカのテレビドラマである。主人公のマイケル・ナイト(演:デビッド・ハッセルホフ)が、犯罪撲滅を目的とした超高性能自動車「KITT」と共に活躍する物語だ。KITTは人工知能を搭載し、高度な運転技術やさまざまなガジェットを備えた未来的なクルマである。ハイテクとアクションを融合させたストーリーが特徴だ。
正義の味方がスーパーカーと共に悪の組織をやっつけるという、シンプルな展開に私は夢中になった。KITTが人工知能を搭載しているのも魅力の一つであり、クルマがまるで登場人物のひとりのように描かれていた点も大きなポイントだった。
ダッシュ四駆郎
「ダッシュ四駆郎」は、徳田ザウルスによる日本のマンガで、ミニ四駆を題材とした作品である。1987年から1992年にかけて『コロコロコミック』で連載され、アニメ化もされた。主人公の四駆郎と仲間たちが改造ミニ四駆でレースに挑む姿を描いている。独自の改造技術や斬新なマシン設計が魅力で、熱いバトルや友情、成長がテーマとなっている。
私がハマったのはアニメのほうだった。この時代のミニ四駆は、現在のサーキットミニ四駆とは異なり、ラリーに近いスタイルだった。コースとは呼べないような悪路を、知恵と工夫、そして改造によって乗り切る展開が大好きだった。クルマを改造する面白さを知ったのは、間違いなくこの作品がきっかけだった。そして後に、実際にミニ四駆に熱中することになったのは言うまでもない。
新世紀GPXサイバーフォーミュラ
「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」は、未来のレースを舞台にしたアニメ作品である。若きレーサー・風見ハヤトが、AIを搭載したレーシングカー「アスラーダ」と共に、数々のライバルとレースdで競い合うのと同時に、「アスラーダ」をつけ狙う悪の組織との戦いを描いた物語だ。高度なテクノロジーやスピード感あふれるレースシーンやカーチェイスシーンが魅力で、友情や成長を描いたストーリーとなっている。
この作品を見たときの衝撃は今でも忘れられない。それまで好きだった「ナイトライダー」と「ダッシュ四駆郎」の要素が絶妙に組み合わさっており、とにかく夢中になった。放送された1991年当時、日本ではF1ブームの真っただ中だった。そのため、レースシーンの描き込みの細かさは、今見ても感動するほどである。
子供がクルマに興味を持つきっかけとして映像作品は重要!
私がF1やスーパーGTなどのレースをテレビで見るようになったのは、それらの映像作品と出会ってから7年後の1998年、F1日本グランプリ(鈴鹿)のテレビ中継がきっかけだった。しかし、そもそもクルマに興味を持っていなければ、レースを見ることはなかっただろう。
当時は地上波でF1日本グランプリが放送されていたため、今よりもずっと視聴しやすい環境だった。それが今では地上波でのモータースポーツ中継がなくなり、高額な有料サブスクリプションに加入しなければならない。手軽にレースを楽しむことが難しくなった以上、全く興味のない人がモータースポーツを観ようと思う機会は減っている。
だからこそ、アニメや映画といった映像作品でクルマやレースに興味を持ってもらうことが重要だと私は考えている。そうしたコンテンツが、新たなモータースポーツファンを生み出すきっかけとなるのではないだろうか。
2023~2024年はクルマ関連作品が豊作
モータースポーツやクルマを題材にした作品が、2023年から2024年にかけて豊作だった。私もすべてを視聴したわけではないが、最新の映像作品をいくつか紹介しよう。
オーバーテイク!
「オーバーテイク!」は、フォーミュラ4(F4)レースを舞台にした作品。主人公の浅雛悠は、小牧モータースに所属する高校生F4レーサーであり、父親の死後、レースで父の夢を叶えることを目指している。一方、スランプに陥っているフォトグラファーの真賀孝哉は、悠のレースを撮影することで自身のスランプを克服しようと奮闘する。この二人の主人公がレースを通じて成長し、夢を追いかける姿を描いた作品。
私もリアルタイムで毎週楽しみにしていた。物語の構成が丁寧で、感動を誘う仕上がりになっている。この感動的なストーリーとレースシーンが絶妙に組み合わさっており、見ごたえがある。さらに、マイナーカテゴリーのレースのリアルな描写も見どころの一つ。しかし、アニメファンの間ではあまり評価されていないのが解せない。もっと高く評価されるべき作品だと思う。
MFゴースト
「MFゴースト」は、「頭文字D」の作者・しげの秀一による漫画を原作とし、2023年からアニメ版が放送されている。物語は、ガソリン車がほとんど消滅した未来の日本で繰り広げられる公道レースを描いている。主人公はカナタ・リヴィントンという青年で、イギリスから日本に戻り、新たなレースに挑む姿が描かれる。「頭文字D」の続編という位置づけの作品である。
私は「MFゴースト」に関しては漫画派で、「頭文字D」は途中でリタイアした。ローパワーの86がハイパワー・高性能スポーツカーに挑んでいくストーリーには夢がある。個人的には、漫画のクルマの走行描写が好きすぎて、アニメ版は見ずにスルーしている。しかし、SNSでは非常に盛り上がっている印象を受ける。先日、漫画原作が完結したようなので単行本で早く続きが見たい。これもおすすめの作品だ。
HIGHSPEED Étoile(ハイスピードエトワール)
「HIGHSPEED Étoile」は、時速500kmを超える次世代レース「NEX Race」を舞台に、新人レーサー輪堂凛が絶対王者ロレンツォ・M・サルヴァトーレを目指して挑む物語。キャラクターデザインは藤真拓哉、音楽はEFFYが担当し、アニメーション制作はStudio A-CAT。
全編3D-CGで制作されている作品。スーパーフォーミュラーとタイアップしている作品で、リアルレースチームとのコラボ企画が多数存在する。残念ながら私は2話で見るのを断念している。時間がある時にまとめて見ておきたい作品だ。
爆上戦隊ブンブンジャー
「爆上戦隊ブンブンジャー」は、東映制作の特撮テレビドラマである。キャッチコピーは「気分ブンブン!新時代をバクアゲろ!」。物語は、独創的なクリエイティビティと圧倒的なメカニック技術を持つ三人の若者が、異星人集団・大宇宙侵略大走力団ハシリヤンと戦う姿を描いている。主人公たちは、それぞれブンレッド、ブンピンク、ブンブルーに変身し、自ら作ったアイテムやブンブンカーを駆使して戦う。
私はこの作品をまだ視聴していないが、放送前からクルマ好き界隈でも話題になっていた。その理由は、主人公が乗るスーパーカーのベース車両が「光岡ロックスター(マツダロードスター)」だったからだ。機会があれば、ぜひ視聴してみたいと思う。
レース(クルマ)を題材にする難しさ
2023年から2024年にかけて、さまざまな作品が放送された。しかし、爆発的な人気作にはならなかった。私もいくつか視聴したが、レース(クルマ)を題材とする作品の難しさを改めて感じた。
どの作品も、クルマの走行シーンは3DCGによるアニメーションで描かれていた。しかし、どれも迫力が足りない。モータースポーツを実際に観戦したことがある人なら理解できるだろう。限界ギリギリでアタックするクルマの鬼気迫る挙動を。その迫力が、3DCGでは表現しきれていないと、どうしても感じてしまったのだ。難しい事なのはわかっているが、レース(クルマ)を題材にする以上、迫力のある走行シーンは必須だと思う。今後の進化に期待したい。
おすすめ作品
ここからは、自分が特にリスペクトしている作品を紹介する。何度見返したかわからないほど大好きな作品たちである。まだ見たことがない人は、ぜひ一度チェックしてもらいたい。
OVER DRIVE(オーバードライブ)
『OVER DRIVE』(オーバードライブ)は、モータースポーツのラリー競技をテーマにした日本の実写映画。キャッチコピーは「信じて駆けろ」。物語は、若き天才ドライバー檜山直純と、その兄でありメカニックの篤洋の関係を描いている。ラリー競技の最高峰を目指す直純は、兄の助言を無視し、衝突を繰り返す。そこに新たなマネジメント担当・遠藤ひかるがチームに加わり、兄弟の確執やチームの危機に立ち向かう姿が描かれる。
見どころは、迫力のラリー走行シーンだ。映画撮影のために制作された車両を実際に走行させており、その臨場感はアニメーションやCGでは表現が難しい。さらに、従来のモータースポーツ映画とは異なり、メカニックに焦点を当てた点も特徴的で、幅広い層が楽しめる作品となっている。私は上映期間中に映画館で鑑賞したが、今でもふとした時に見返したくなる映画である。
新世紀GPXサイバーフォーミュラ11
『新世紀GPXサイバーフォーミュラ11』は、サイバーフォーミュラシリーズのOVA(オリジナルビデオアニメ)。TV版の最終回の翌年のグランプリシリーズを描いており、TV版とは異なりレースシーンにフォーカスした物語となっている。主人公・風見ハヤトのレーサーとしての成長を追う内容であり、より熱いレース展開が楽しめる。
TV版も面白いのだが、私が特に大好きなのはOVAシリーズ第1弾の『11(ダブルワン)』である。モータースポーツを題材にした手書きアニメーションとして、これを超えるクオリティの作品はなかなか登場しないと私は思う。それほどまでに、この作品の映像表現や演出は秀逸であり、クルマ好きの心に刺さるワンカットワンカットが詰め込まれている。まだ見たことがない人は、TV版を飛ばしてでもぜひ観てもらいたい。
capeta(カペタ)
『capeta』は、曽田正人によるモータースポーツを題材にした日本の漫画作品。テレビアニメは2005年から約1年間、テレビ東京系列で放送された。物語は、主人公の平勝平太(カペタ)がカートに魅せられ、プロレーサーを目指してさまざまな困難を乗り越えながら成長していく姿を描く。
本作では、レース界の厳しい実力主義や個人活動の困難がリアルに描写されており、単なるスポ根ものではない奥深さがある。アニメ版は、カペタがカートと出会う場面からフォーミュラ・ステラオーディションあたりまでが描かれ、最終回直前の数話は完全アニメオリジナルとなっている。レースの過酷さと夢を追う情熱が交差する、モータースポーツファンなら一度は観ておくべき作品である。
まとめ
モータースポーツを題材にした映像作品は、クルマやレースに興味を持つきっかけとして非常に重要な役割を果たしている。私自身も幼少期に見た作品がきっかけでクルマの世界に魅了され、現在に至るまでその情熱を持ち続けている。特に、リアルなレース描写や個性豊かなマシンの存在は、クルマへの憧れを強く刺激する要素であり、ファンを増やす大きな要因となるだろう。
ここ数年、モータースポーツやクルマをテーマにした作品が多く制作されているが、作品によって評価が大きく分かれるのも事実だ。3DCG技術の進化により、リアルな走行シーンを描くことが可能になった一方で、実写映像や手描きアニメーションならではの臨場感が損なわれてしまうこともある。モータースポーツの魅力は、エンジン音、タイヤの軋む音、そしてドライバーの緊張感や高揚感にある。こうした要素をどのように表現するかが、作品の成功を左右するポイントになるだろう。
とはいえ、こうした映像作品の存在は、間違いなくクルマ文化の発展に貢献している。過去の名作がきっかけでクルマ好きになった人がいるように、今後も新たな作品が生まれ続けることで、次世代のモータースポーツファンが育っていくことを期待したい。特に、子供や若い世代に向けた作品が増えれば、将来的なモータースポーツ人口の拡大にもつながるはずだ。
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