マルチメイクレースとは?
マルチメイクレースとは、市販車またはレース用に開発された複数のメーカーの車両が参加して争われるレースカテゴリーを指す。異なる車種・ブランドが同じレースに出走するため、車両性能の違いやメーカー間の競争が大きな見どころとなる。国内外の主要なレースシリーズで採用されており、観る側にも走る側にも高い人気を誇る。
マルチメイクレースの特徴
異なるメーカー・車種が同時に出走
マルチメイクレースの最大の特徴は、複数メーカーの車両が同一レースにエントリーする点である。たとえば、SUPER GTのGT300クラスではトヨタ、日産、ホンダ、ポルシェ、メルセデス・ベンツなど13以上のブランド・40車種超が混走している。この多様性が、レース中のマシンの個性や戦略の違いを際立たせる要素となる。
性能調整(BoP)が重要
メーカーや車種ごとの性能差を調整するため、「BoP(Balance of Performance)」と呼ばれる性能調整が行われる。エンジン出力、車両重量、燃料流量、空力性能などが細かく制限され、どの車種にも勝機があるように調整される仕組みである。観客にとっては、どのメーカーのマシンが次のレースで勝つのか予測できないスリリングな展開が楽しめる。
世界各国で採用されるフォーマット
マルチメイクレースは日本国内だけでなく、海外でも主流のレースフォーマットである。代表的なシリーズとして次のようなものが挙げられる。
- SUPER GT(GT500・GT300)
GT300クラスはFIA GT3車両やJAF-GT車両など多種多様な車両が参戦。GT500はトヨタ、日産、ホンダの3メーカーによるハイレベルな競争が特徴。 - FIA 世界耐久選手権(WEC)
ハイパーカークラスは2025年時点で8メーカーが参戦。LMGT3クラスも含めると計14メーカーが混走し、BoPによる性能調整が必須となる。 - IMSA ウェザーテック・スポーツカー選手権
GTP・GTDクラスに11メーカーが参加し、アメリカを中心に人気を博す。IMSA独自のBoPで性能差を均衡。 - Fanatec GT ワールドチャレンジ・ヨーロッパ
GT3規格の車両によるレース。アウディ、BMW、フェラーリ、ランボルギーニ、メルセデスAMGなど多数のメーカーがしのぎを削る。
初心者にも参加可能なカテゴリーが存在
マルチメイクレースは国際的な大規模シリーズだけでなく、国内のクラブマンレースや草レースでも見られる形式である。市販車に近い状態のマシンで参加できるため、アマチュアドライバーにも人気がある。中には同一車種ごとのクラス分けが行われるケースもあり、エントリーしやすい環境が整っている。
ワンメイクレースとの違い
ワンメイクレースは単一メーカー・単一車種のみで行われるため、車両性能が揃い、ドライバーの技量が結果に直結しやすい。一方、マルチメイクレースは車両の特性差やBoPによる調整が勝負のカギを握り、より高度な戦略性と技術力が要求される。これがレースの駆け引きを奥深いものにしている。
マルチメイクレースの魅力
マルチメイクレースは、単なる速さの競争ではなく、各メーカーの技術力・チームの戦略・ドライバーのテクニックが絡み合う総合力勝負である。異なるエンジン音、加速特性、コーナリングの挙動など、観戦中に感じられるマシンごとの個性も大きな魅力だ。モータースポーツファンなら一度は現地で観戦したいカテゴリーである。
まとめ
マルチメイクレースは多様な車両が混走することで、よりダイナミックで戦略的なレース展開が魅力となる。初心者でも車両やメーカーの違いを意識して観戦すれば、より一層楽しめるだろう。
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