走行会とは?
「走行会」とは、一般のドライバーが自分の車を使ってサーキットやジムカーナ場などの専用コースを走行できるイベントの総称である。JAF公認の公式レースとは異なり、順位や接触を競うのではなく、安全にモータースポーツの雰囲気を体験できる場として広く親しまれている。
主催者はサーキット運営会社やショップ、車種別オーナーズクラブ、モータースポーツ系メディアなど多岐にわたり、初心者から上級者まで楽しめる内容となっている。
走行会の種類と特徴
一口に走行会といっても、そのスタイルはさまざまである。主なタイプは以下の通り。
- フリー走行型:自分のペースで自由に走れる基本形。時間内であれば何周でも可能。
- タイム計測あり型:公式タイム計測機器を使い、自分のベストラップを記録できる。記録を伸ばしたい経験者に人気。
- レッスン付き型:座学や先導走行、インストラクターの同乗などが含まれる初心者向けのプログラム。
- パレードラン型・交流型:車好き同士の交流が主目的で、速度制限つきのファン向けイベントもある。
イベントごとに対象レベルや走行内容が異なるため、自分の目的に合った走行会を選ぶことが重要である。
レースとは違う「安全第一」のルール
走行会では、接触リスクを最小限に抑えるため、追い越しルールが明確に設定されている。たとえば「ストレートのみ追い越し可」や「先行車を無理に抜かない」といった指示が事前にブリーフィングで説明される。
赤旗や黄旗といった走行中のサインの意味も確認しておく必要がある。初心者向けの走行会では、先導車による慣熟走行や、インストラクターの同乗が用意されていることもあり、初参加でも安心して体験できる環境が整っている。
申し込み方法と当日の流れ
走行会への申し込みは、主催者の公式サイトやSNSから受付されることが多い。参加申し込み後には、メールで詳細案内が届き、車両チェックシートや誓約書への記入が求められる場合もある。
当日は受付後に車両検査(簡易な外観・タイヤ・ライトチェックなど)を受け、ドライバーズブリーフィング(安全講習)に参加する。走行枠の時間に合わせて準備を進め、ピットイン・アウトの方法やサインの確認も行う必要がある。
初めて参加する場合は、事前に持ち物リストやサーキットの施設案内を確認しておくと安心である。
参加条件と準備すべき装備
走行会の多くはJAFライセンス不要で参加できるが、安全確保のため以下の装備が基本となる。
- 長袖・長ズボン・運転しやすい靴
- ヘルメット(フルフェイスタイプが推奨)
- グローブ(滑り止め付き、軍手不可)
- 牽引フックの取り付け(必須ではないが推奨)
中〜上級者向け走行枠では、4点式シートベルト、ロールバー、消火器などの装備が求められることもある。また、任意保険がサーキット走行中は無効となる場合があるため、主催者が提供する「サーキット専用保険」や「スポーツ保険」に加入するのが望ましい。
車両と参加費用
参加車両はナンバー付きの市販車が中心で、ノーマル車でも問題ない。ただし、最低限の整備がされていることが前提となる。具体的には、以下のような点検を行うと良い。
- タイヤの空気圧と残量
- ブレーキパッドの摩耗状況
- 冷却水やエンジンオイルの量
- ホイールナットの締め付け確認
整備不足のまま走行すると、タイヤバーストやブレーキトラブルなどの危険な故障につながる可能性がある。
参加費用はサーキットや走行時間によって異なるが、1枠(20分)で5,000円〜15,000円が相場。1日イベントでは30,000円前後となることもある。
走行会で起こりやすいトラブルとその対策
初心者が初めて走行会に参加する際には、いくつかの想定すべきトラブルがある。
- ブレーキのフェード現象(高温による制動力低下)
- 冷却水漏れ(ラジエターキャップやホースの劣化)
- オイルキャッチタンクの未装備によるオイル飛散
- トーイングフック未装着による牽引不能
これらは日常点検では気づきにくいが、スポーツ走行では想定外の負荷がかかるため、事前にショップ等で点検を受けるのが安全である。
初心者こそ「走行会」でスキルアップを
サーキットは公道と違い、対向車や歩行者がいない安全な環境であるため、運転技術の向上に最適である。ブレーキング、コーナリング、ライン取りといった普段の運転では試せない領域を体験できる。
さらに、同じイベントに参加している仲間と交流を深めることで、セッティングや走行の悩みを相談できることも魅力の一つである。
走行会の次のステップとは?
走行会をきっかけに、さらに本格的にモータースポーツに挑戦したいと思ったなら、「サーキットライセンス」の取得や「タイムトライアル競技」への参加も視野に入ってくるだろう。
特に「サーキットトライアル」や「ジムカーナ」「オートテスト」といったJAF非公認イベントや入門競技は、走行会経験者が次にステップアップする場として人気を集めている。
モータースポーツの第一歩として
「もっと運転がうまくなりたい」「サーキットを走ってみたい」――そう思ったとき、最初のステップに最適なのが「走行会」である。レースよりも気軽で、日常とは異なるスピードの世界を体験できる貴重な場。
クルマの性能を引き出す楽しさ、自分の成長を感じる喜び、仲間と過ごす時間。すべてが、モータースポーツの魅力につながっている。
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