レーシンググローブとは?
レーシンググローブとは、モータースポーツにおいてドライバーの手を守り、車両の操作性を向上させるために設計された専用の手袋である。一般的なグローブと異なり、高速走行中のトラブルや火災などに備えた高い安全性能を持つことが特徴だ。
自分が初めてレースに参加した際は、グローブの重要性を軽視していた。しかし実際に走行してみると、手汗や振動により素手では正確な操作が難しいことを痛感した。それ以来、グローブ選びは自分にとって最も重要な装備の一つとなっている。
レーシンググローブの構造
レーシンググローブは見た目以上に高度な構造を持っている。主に以下の三層構造で成り立っている。
- 外装素材:ノーメックスやレザーなど、難燃性と耐久性を兼ね備えた素材を使用
- 中間層:断熱材や耐熱素材で、熱を遮断し火傷を防止
- 内装素材:吸汗性や装着感に優れた柔らかい素材で構成されている
ノーメックスとはアラミド繊維の一種で、消防士の装備などにも使われる難燃素材である。これらの層が一体となることで、安全性と快適性を両立した構造となっている。
滑り止めの重要性
レーシンググローブのもう一つの重要な機能が「滑り止め加工」である。ステアリングホイールとの密着性を高めることで、車両の挙動を繊細に感じ取りやすくなる。
一般的にはシリコンラバーや加工レザーなどが使われ、強いグリップ力を発揮する。自分も最初は気にしていなかったが、滑り止め性能の高いグローブを使ってから、ステアリング操作の正確性が格段に向上したと感じた。
フィッティングの精度
グローブのサイズ感も非常に重要である。小さすぎると指の動きが制限され、大きすぎると布地の余りが操作の妨げになる。まさに“第二の皮膚”として、自分の手にしっかりフィットすることが求められる。
シフト操作やパドルシフトなど、細かい操作が要求される現代のレースでは、フィッティングの良し悪しがパフォーマンスに直結する。可能であれば試着してから購入することを推奨したい。
難燃性と耐熱性
レーシンググローブで最も注目される性能が、難燃性と耐熱性である。
- 難燃性:火がついても燃え広がりにくい特性
- 耐熱性:高温にさらされても手を保護できる性能
これらの性能は、万が一の火災時に命を守るために不可欠な要素となる。JAF公認レースでは、これらの基準をクリアした製品の使用が義務付けられている。たとえば「3~5秒間炎にさらされても燃え上がらない」といった基準が設けられている。
レース参加に必要なグローブの規格
公式レースに参加するためには、FIA(国際自動車連盟)やJAF(日本自動車連盟)が定めた規格を満たすグローブが必要となる。
2025年現在、主に「FIA 8856-2018」規格が求められている。この規格をクリアした製品には、タグやラベルで明記されているため、購入時には必ず確認しておきたい。
また、レーシンググローブにも使用期限がある。素材の劣化や滑り止めの摩耗により、2〜3年での買い替えが推奨されることも多い。
レーシンググローブの選び方と実践的な使い方
初心者であっても、レンタルカートや練習走行の段階からレーシンググローブを使用することをおすすめしたい。操作感の違いや、安全意識の向上にもつながるからだ。
価格帯としては、エントリーモデルで1万円前後から、高性能モデルでは2万円以上の製品もある。有名ブランドとしては「OMP」「sparco」「Alpinestars」などが挙げられる。
よくある失敗としては「通販で買ったらサイズが合わなかった」「安いグローブで滑りやすかった」などがある。可能であれば実店舗での試着や、レビューを参考にして選びたい。
まとめ
レーシンググローブは、見た目以上に重要な意味を持つ装備である。
- 高度な三層構造により安全性と操作性を両立
- グリップ力を高める滑り止め加工が必須
- フィッティング次第でパフォーマンスが変化
- 難燃性・耐熱性が命を守るカギ
- FIAやJAFが定める規格を確認
これらを踏まえ、自分のスタイルや走行レベルに合ったグローブを選ぶことで、より安全で快適なモータースポーツライフを実現できるだろう。
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