モータースポーツで安全性を高めるうえで、見落とされがちな装備のひとつが「バラクラバ」である。ヘルメットの下に着用する薄手のインナーだが、火災時の防護から汗の吸収、ヘルメット内装の保護まで、ドライバーを支える役割は想像以上に大きい。本記事では、バラクラバの基本的な役割や使用時の注意点をわかりやすく解説する。
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バラクラバとは?
バラクラバとは、ヘルメットの内側に着用する薄手のマスク状インナーのことである。頭部から首回りまでを覆う形状が特徴で、「フェイスマスク」や「目出し帽」と呼ばれる場合もある。
モータースポーツでは、FIA(国際自動車連盟)の規格に適合した難燃素材のバラクラバを使用することが義務付けられている。これはクラッシュ時に火災が発生した際、ドライバーの顔や首を熱から守るために欠かせない安全装備である。
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バラクラバの目的と役割
1. 首元の露出防止と熱対策
バラクラバの最も重要な役目は、火災時に首回りへの熱侵入を抑えることである。ヘルメットとレーシングスーツの間にはどうしても“隙間”が生まれるが、ここをバラクラバが補うことで、火傷や熱風によるダメージを大幅に軽減できる。
2. 汗の吸収と快適性の向上
走行中はヘルメットの中で汗を拭くことができないため、バラクラバが吸汗インナーとして機能する。汗を吸収して顔のベタつきを抑えるだけでなく、汗が直接ヘルメット内部に染み込むのを防ぎ、臭いや劣化の予防にも役立つ。
3. ヘルメット内部の汚れ防止
バラクラバがあると、髪の毛や皮脂が内装に付着しにくくなり、ヘルメットを長期間きれいな状態で使える。特に高額なヘルメットを使用している場合、内装を守るという意味でもメリットは大きい。
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バラクラバの使用上の注意点
バラクラバは消耗品であり、使用と洗濯を重ねると徐々に難燃性能が低下していく。私自身も毎年1回のペースで新しいバラクラバに買い替えている。安全性を確保するためにも、定期的な交換を前提に使用することが重要である。
まとめ|バラクラバは“安全の土台”となる装備
モータースポーツを安全に楽しむためには、車両の準備だけでなく、身体を守る装備選びも欠かせない。その中でバラクラバは、火災時の防護、汗の吸収、ヘルメットの保護といった複数の役割をもち、まさに“安全の土台”となるアイテムである。
これから走行を始める人はもちろん、すでに競技に参加している人も、改めてバラクラバの重要性を理解し、安全性を高める装備選びをしてほしいと思う。



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