ドリフトテストとは?
ドリフトテストの誕生背景
JAF(日本自動車連盟)は2024年5月、スピード競技開催規定を改正し、新たな公認競技として「ドリフトテスト」を制定した。これは2015年から行われている「オートテスト」の発展版とも言える種目であり、より高い操作技術と魅せる走りを意識した内容となっている。
ドリフトテストの最大の特徴は、滑走状態での車両制御技術を競い合う点にある。一般的なドリフト競技に比べて参加ハードルが低く、モータースポーツ初心者でもチャレンジしやすい構成となっている。
ドリフトテストの競技内容とルール
ドリフトテストは、指定されたコース内で車両を意図的に滑走(ドリフト)させながら、ターンや「8の字」走行を行い、最後に停止枠内に正確に車両を止めることを目指す競技である。とくに、滑走状態を維持したまま駐車を行う「ドリフト駐車」が重要な判定要素となっている。
実施形式と会場
- 走行形式:1台ずつの単走(ランニングスタート方式)
- 会場条件:他の交通を遮断したエリアで、路面に散水を行うなどして全駆動方式(FF/FR/4WD)で滑走しやすく整備された場所
- コース構成例:
- スタートライン
- 滑走を伴う走行区間(180度ターン、円旋回、8の字など)
- パイロンで設定された停止枠(滑走状態で進入)
審査基準と順位の決定方法
ドリフトテストでは、走行タイムとポイント評価を組み合わせて順位を決定する。主な評価項目は以下の通りである。
判定項目 | 内容 | 最大ポイント |
タイヤの本数 | 滑走に使ったタイヤ本数×20P | 最大80P |
ドリフトポイント | 主観審査 | 最大20P |
パイロンペナルティ | 移動または転倒で−5P/本 | 減点方式 |
審査員は、滑走状態の姿勢や駐車時のフォーム、コースの正確な走行をチェックする。審査基準は事前の「ドライバーズブリーフィング」で説明されるため、初心者でも安心して参加できる環境が整えられている。
なお、特別規則によっては「タイム評価を採用しない」とする大会形式も可能である。
参加条件と安全装備
ドリフトテストは以下の条件で参加が可能である。
- 免許とライセンス:
- クローズド競技:普通自動車免許保有者
- 地方競技会:国内Bライセンス以上
- 車両の条件:
- 保安基準を満たしたナンバー付き車両(改造不要)
- 1台を複数人で共用しての参加も可能
- 装備と服装:
- 長袖・長ズボン、グローブの着用が必須
- 耳が隠れるヘルメットの着用が推奨される
- 同乗走行:練習時に限り、主催者が許可した講師の同乗が可能である。
これらのルールにより、日常使いのクルマで気軽に参加できるとともに、安全面への配慮もなされている。
ドリフトテストの意義と魅力
ドリフトテストは、従来のドリフト競技と異なり、日常車両を使ってのエントリーが可能であり、技術の習得とモータースポーツ体験を両立できる貴重な機会である。散水路面によるタイヤの摩耗軽減や、主観審査による楽しさの演出など、初心者に配慮された構成となっている。
また、この競技を通じて、滑走状態での車両コントロールを安全に学ぶことができるため、結果的に公道での運転にも良い影響を与えると考えられる。
今後の展望
ドリフトテストは、モータースポーツをより身近にするためのJAFの新たな挑戦である。将来的には、地方大会の定期開催や、全国規模での大会展開、さらなるコースの多様化も期待されている。
初心者からベテランまで楽しめるこの新競技は、自動車文化の発展や地域活性化にも貢献する存在となるだろう。
コメント