モータースポーツを始めようとすると、必ず耳にするのが「ライセンス」という言葉である。しかし、一口にライセンスと言っても、用途や取得方法はさまざま。必要な資格を正しく理解しておかないと、「どれを取れば競技に参加できるのか?」「サーキットを走るには何が必要なのか?」と迷ってしまう人も多いだろう。
この記事では、モータースポーツに関わる主な3種類のライセンス――運転免許証・JAFモータースポーツライセンス・サーキットライセンス――について、特徴や取得の流れをわかりやすく解説する。
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ライセンスとは?
モータースポーツでは、安全かつ公正に競技へ参加するため、目的に応じた複数のライセンスが存在する。
まず押さえておきたいのが、次の3種類である。
- 運転免許証
- JAFライセンス(競技ライセンス)
- サーキットライセンス
それぞれ役割が異なり、参加したい競技や走行スタイルに応じて使い分ける必要がある。
運転免許証
モータースポーツの入口として最初に必要になるのが「運転免許証」である。
公道を走るための国家資格であり、同時に多くの競技に参加するための前提条件となる。
特に「普通自動車第一種免許」を所持していることが参加条件となる競技がほとんどだ。取得できるのは18歳以上である。
一方、レンタルカートや一部の体験走行イベントでは免許不要のケースもある。しかし、本格的に競技へ参加しようと思うなら、まず運転免許証を取得しておくことが望ましい。
JAFライセンス(競技ライセンス)
次に必要となるのが、JAF(日本自動車連盟)が発行する「モータースポーツライセンス」だ。
ラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアルなど、JAF公認競技会に参加するために必須となる。
- ▶関連記事:「JAF公認競技会とは?」
JAFライセンスは主に次の3種類に分かれる。
- 国内Bライセンス:モータースポーツ初心者向けの入門資格である。取得は簡単で、講習会(近年はオンライン講習あり)を受けるだけで取得できるのが特徴となる。
- 国内Aライセンス:国内Bの上位ライセンスであり、レース参戦などステップアップした競技に必要となる。より高度な知識や実践経験が求められる。
- 国際ライセンス:海外イベントや国際格式のレースへ参加するために必要なライセンスである。取得には成績や経験など厳格な条件が設けられている。。
まずは国内Bを取得し、必要に応じてAライセンスへ進むという流れが一般的だろう。
- ▶関連記事:「競技ライセンスとは?」
- ▶関連記事:「国内Aライセンスとは?」
- ▶関連記事:「国内Bライセンスとは?」
サーキットライセンス
もうひとつ覚えておきたいのが「サーキットライセンス」である。
これはJAFライセンスとは別物で、特定のサーキットでスポーツ走行(フリー走行)を行うために必要なライセンスとなる。
- ▶関連記事:「スポーツ走行とは?」
サーキットごとに独自の制度を設けており、取得するには以下のような安全講習を受ける。
- フラッグの意味
- 走行ルール
- コースの注意点
- 必要装備の確認
体験走行とは違い、スポーツ走行では本格的な速度で周回できるため、走り込んで腕を磨きたいドライバーに人気となっている。
- ▶関連記事:「サーキットライセンスとは?」
ライセンスの使い分けと選び方
3つのライセンスは、目的によって必要性が大きく異なる。
- 公道走行 → 運転免許証
- JAF公認競技への参加 → JAFライセンス(競技ライセンス)
- サーキットで自由練習をしたい → サーキットライセンス
たとえば「まずは走行スキルを磨きたい」という人なら、サーキットライセンスを取得してスポーツ走行から始めるのが良いだろう。
一方で「いつかレースにも出てみたい」と思うなら、国内Bライセンスの取得が第一歩となる。
どのライセンスも、安全・公平なモータースポーツ活動を支える重要な仕組みである。
自分の目指すスタイルに合わせて段階的にステップアップし、モータースポーツの世界を楽しんでいこうと思う。


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