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「MFゴースト」完結。サーキット歴20年が語る“走り屋漫画”の到達点【ネタバレなしレビュー】

マンガ・アニメ・映画
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またひとつ、お気に入りのマンガが完結した。「推しの子」「呪術廻戦」、そして今回の「MFゴースト」と、近年のお気に入り作品が次々と幕を閉じていく中で、最終巻の発売を心待ちにしていたのが、この「MFゴースト」である。

本ブログでは基本的にクルマと無関係な作品は扱わない。しかし「MFゴースト」は“クルマ好き”や“モータースポーツ”と密接に関わる作品であり、完結記念としてレビューする価値があると判断・・・いや、ただただ私が語りたいと思ったから、ネタバレ無しでレビューしていく。

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【あらすじ】天才ドライバー×トヨタ86|ローパワー車で挑む“公道レースの未来”

自動運転が普及した近未来の日本。合法の公道レース「MFG」に、ある目的を胸にイギリスから来日した若き天才ドライバー・片桐夏向(カタギリ・カナタ)が参戦する。MFGを通じて、人々との出会いや成長、そして隠された過去が明かされていく物語である。

本作の見どころは、チート級のドライビング技術を持つ主人公がトヨタ86というローパワーマシンで、ハイパワー車を次々と打ち倒していく展開だろう。これは作者の前作「頭文字D」の序盤を彷彿とさせる構成であり、ファンには懐かしくも新鮮に映る内容となっている。

【頭文字Dとの関係】未読でも楽しめる後継作としての完成度

「MFゴースト」は、峠の走り屋を題材にした漫画「頭文字D」の“未来”を描いた後継作である。前作に登場した人物や車が本作にも登場する場面はあるが、未読の読者でも物語を十分に楽しめる構成となっている。

頭文字Dの名脇役たち
レース解説は頭文字Dのライバル達

実際に私も「頭文字D」は途中までしか読んでいないが、それでも十分に物語の魅力を味わうことができた。むしろ、モータースポーツの雰囲気や車の魅力に惹かれる読者にとっては、新たな入口としても機能するだろう。

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【神作画】止まっているのに“走って見える”圧巻の車描写

「しげの秀一」氏の作品に共通する魅力は、止まっている絵で”動き”を感じさせる表現力にある。特にMFゴーストでは、わずかな車体の傾きや車線の取り方、背景描写によってスピード感が圧倒的に伝わってくる。

加速姿勢が緻密に描かれている
APに向かっていく様子が感じ取れる

その描写は誇張ではなく、リアルな挙動に基づいた説得力ある表現である。長年モータースポーツを見続けてきた私としても、違和感なく、むしろ感動すら覚えるレベルであった。

【惜しい点】人物描写は課題あり?でも味がある“しげの絵”

一方で、しげの作品の特徴としてしばしば指摘されるのが、人物の顔が似通っており、全員がオッサンに見える点である。これは「頭文字D」時代から言われてきた課題でもある。

そのため、特にレース中の顔アップの場面では、誰が描かれているのかわかりにくくなることもあった。この点が苦手で作品を避ける読者がいるのも事実だ。その対策として、キャラクターをリデザインしているアニメ版を視聴するという選択肢もあるが、アニメであっても走っている車両描写は原作の迫力に及ばないため、私はアニメ版は未視聴である。

【脇役が熱い】キャラごとの人生と走りが交差する群像劇

人物の描写がイマイチだからといって、人物エピソードもイマイチなわけではない。むしろ、主人公だけでなく、脇役たちにもスポットが当たる構成が魅力である。各レースごとに新たなキャラクターが登場し、それぞれに個性的な背景や見せ場が与えられている。

個人的なお気に入りは北原望という兄妹で「MFG」に出場する妹キャラで、アルファロメオ4C乗り。第1戦から登場するキャラクターであり、毎レース見せ場があり、最終戦の展開は感動するものがあった。

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【車種の魅力】国産スポーツからスーパーカーまで勢揃い

「頭文字D」では峠が主戦場だったため国産車に偏っていたが、「MFゴースト」では国産スポーツカーに加え、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、アルピーヌ、アストンマーティンなど、多彩なスーパーカーが登場する。

日産GT-R、ホンダNSX、トヨタスープラなど国産勢の活躍も健在であり、国産車ファンも輸入車ファンも楽しめる作品構成となっている。

【細部のこだわり】ゼッケンの意味に隠された制作意図

様々な車種が神作画で登場するMFゴーストだが、解せないことがひとつある。「そのゼッケン必要か?」という疑問である。未来のテクノロジーを活かしたドローン監視のシステムがあるにも関わらず、車体ドアに貼られた巨大なゼッケンが私には珍妙に映った。

現実的にはゼッケンは必要な要素だが、未来描写との整合性を考えると違和感が残る配置である。ドローンで見るならボンネットかルーフに貼った方が見やすいだろうに・・・。しかし、イベントなどでゼッケン「86」が貼られた車両に注目が集まる様子を見ると、商業的・演出的な意図があったのだと納得できた。

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【おすすめエピソード】雨の芦ノ湖GT編が描くローパワー車の真髄

作中では5つのレースが描かれるが、特に印象深かったのが第2戦・芦ノ湖GTである。雨のレースとローパワーマシンの組み合わせが、主人公の技術を際立たせる展開となっていた。

雨が降りそうな描写の時点でワクワクし、その期待に応えるような展開が続き、手に汗握る緊張感を味わえた。このエピソードを読むだけでも、MFゴーストの魅力は伝わるはずである。

MFゴースト|4巻~8巻(芦ノ湖GT編)

【次回作情報】「昴と彗星」に込められた新たな期待

MFゴースト完結の発表と同時に、新作「昴と彗星(すばる と すばる)」の制作が告知された。詳細は明らかになっていないが、タイトルや傾向から「スバルBRZ」が物語の鍵になる可能性が高い。

「MFゴースト」「頭文字D」の流れを組む作品であることは間違いなさそうなので、引き続きしげの作品のクルマ描写を見る事ができると決まり、楽しみで仕方ない。7月から連載開始なので、単行本の発売は年末か年始頃になるだろう。

【まとめ】車好きは必読。“走る哲学”を感じる一冊

「MFゴースト」は、クルマに興味のない人でも楽しめるエンタメ作品でありながら、モータースポーツを愛する人々にとっては胸を熱くするリアルな描写が詰まった作品である。

「頭文字D」を未読でも問題なく読み進められる構成となっており、むしろこの作品を入口に前作に興味を持つ読者も多いだろう。何よりも特筆すべきは、動きを感じさせるクルマ描写の凄みである。

モータースポーツファン、走るクルマが好きなすべての人にこそ読んでほしい一冊である。

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