アライの4輪競技用ヘルメットを検討していると、必ず候補に挙がるのが「GP-6S」と「GP-5W」だろう。
どちらもスネルSA/FIA8859規格に対応し、HANS用M6ターミナルを標準装備した本格的な競技用ヘルメットである。しかし、この2モデルは似ているようで、役割が少しだけ異なる。
GP-6Sは、アライ4輪ヘルメットの中で全ての競技に対応できるスタンダードモデルという位置づけだ。特にフォーミュラーカーではGP-6Sが推奨されるケースも多く、「まず基準として選ばれる」存在となっている。一方のGP-5Wは、クローズドカー用と銘を打たれたモデルであり、GP-6Sよりも視界が広く、見やすさを重視した設計が大きな特徴だ。
この2つを「どちらが上か」で比較してしまうと、選択を誤りやすい。重要なのは、自分が走る競技と、どこに重きを置くかである。本記事では、GP-6SとGP-5Wの違いを、スタンダードとクローズドカー向けという考え方から整理し、どちらを選ぶべきかを分かりやすく解説していく。

ちゃっくです。誰もが挑戦できるモータースポーツを発信しています。
モータースポーツへの挑戦方法の基礎解説はこちらをご覧ください。
X(旧Twitter)、YouTube、Instagramもやってます。
目次(クリックでジャンプ)
結論|迷ったらGP-6S、クローズドカー中心ならGP-5W
結論から言えば、迷った場合はGP-6Sを選んでおけば間違いは少ない。
GP-6Sはアライ4輪ヘルメットの中で、全ての競技に対応できるスタンダードモデルという立ち位置にあり、特定のカテゴリーに縛られない汎用性を持つ。将来的に走るカテゴリーが変わる可能性がある人や、まずは基準となる一つを選びたい人にとって、GP-6Sは安心感のある選択肢となるだろう。
一方で、クローズドカーでの走行が中心と決まっているのであれば、GP-5Wが視野に入る。GP-5Wはクローズドカー用と銘を打たれたモデルであり、GP-6Sと比べて視界が広く、周囲を把握しやすい設計が特徴だ。Aピラーやドアミラー、コーナー進入時の視認性といった、クローズドカー特有のシチュエーションでは、この見やすさが効いてくる場面もあるだろう。
重要なのは、「GP-6Sが上位で、GP-5Wが下位」という関係ではないという点である。あくまでスタンダードとして幅広く対応するGP-6Sと、クローズドカー向けに使いやすさを寄せたGP-5Wという違いだ。自分の主戦カテゴリーと、何を優先したいかを整理したうえで選ぶことが、後悔しないヘルメット選びにつながる。
実際の価格帯や在庫状況は時期によって変わるため、現在の販売状況を一度確認しておくと判断しやすい。
まずは整理|GP-6SとGP-5Wの立ち位置が少し違う
GP-6SとGP-5Wは、どちらもアライの4輪競技用ヘルメットとして同じ安全規格に対応し、基本性能も高い水準で揃っている。そのため、カタログをざっと見ただけでは「ほとんど同じではないか」と感じる人も少なくないだろう。
しかし実際には、この2モデルは想定している使われ方に少しだけ違いがある。
GP-6Sは、アライ4輪ヘルメットの中で基準点となるスタンダードモデルとして位置づけられている。特定の競技に強く寄せるのではなく、フォーミュラーカーからクローズドカーまで、幅広いカテゴリーで無理なく使えることを重視した設計だ。「まず最初に選ばれる」「迷ったらこれ」という扱いをされることが多いのは、この汎用性の高さによるものだろう。
一方のGP-5Wは、クローズドカー用と明確に銘を打たれているモデルである。GP-6Sと同じく幅広い競技で使用できるが、設計の考え方としてはクローズドカーでの使いやすさをより意識している。その象徴的な違いが、GP-6Sよりも広く確保された視界だ。車内フレームやミラーに囲まれた環境では、この見やすさが運転のしやすさに直結する場面もある。
ここで重要なのは、GP-6SとGP-5Wの関係が「万能モデルと専用モデル」といった極端な差ではない点である。役割は大きく違わないものの、GP-6Sはスタンダード寄り、GP-5Wはクローズドカー寄りという、わずかな方向性の違いが存在する。この違いを理解しておくことで、自分の競技環境に合った選択がしやすくなるはずだ。
GP-6Sの特徴|全競技対応スタンダードモデル

GP-6Sの最大の特徴は、アライ4輪競技用ヘルメットの中で全ての競技に対応できるスタンダードモデルとして設計されている点にある。特定のカテゴリーや車両に強く寄せるのではなく、どの競技でも「まず基準として成立する」ことを重視したバランス型のヘルメットだ。
フォーミュラーカーからクローズドカーまで幅広く使用できる点は、GP-6Sが長く支持されてきた理由のひとつである。特にフォーミュラー系カテゴリーでは、GP-6Sが推奨されるケースも多く、ドライバーの着座姿勢や視線の位置、コクピット内での動きといった要素との相性が良いとされている。競技を限定せず使えるということは、将来的にカテゴリーが変わった場合でも、そのまま使い続けられる可能性が高いという意味でもある。
GP-6Sは「万能」と言い切れるほど極端な個性を持つモデルではないが、その分、大きな欠点が出にくい。被り心地、視界、装着感といった要素が高い次元でバランスされており、特定の条件下でクセを感じにくい設計になっている。初めて4輪競技用ヘルメットを選ぶ人がGP-6Sを基準に考えることが多いのも、この安定感によるものだろう。
また、GP-6Sは「まずこれを基準にして、必要に応じて別モデルを検討する」という考え方がしやすいヘルメットでもある。クローズドカーでの視界をさらに重視したい場合にGP-5Wが候補に挙がるように、GP-6Sは他モデルとの比較の軸として機能する存在だ。スタンダードモデルという言葉には、単なる価格帯やグレード以上に、選択の出発点になれるヘルメットという意味合いが含まれている。
GP-5Wの特徴|クローズドカー向けに視界を重視したモデル

GP-5Wは、アライの4輪競技用ヘルメットの中でもクローズドカーでの使用を意識したモデルとして位置づけられている。GP-6Sと同じ安全規格に対応し、基本性能は共通する部分が多いが、設計の考え方にはクローズドカー特有の環境を前提とした違いがある。
まず大きな特徴となるのが、GP-6Sよりも広く確保された視界だ。クローズドカーでは、Aピラーやルームミラー、ドアフレームなどが視界に入りやすく、フォーミュラーカーと比べて周囲の見通しが制限されやすい。GP-5Wは、こうした環境でも前方や斜め方向を把握しやすいよう、見やすさを重視した設計となっている。この視界の取りやすさは、運転時の安心感や操作のしやすさに直結する要素だ。
次に注目したいのが、頭部インテークの数がGP-6Sより多い点である。クローズドカーは車体に囲まれているため、走行風がヘルメットに直接当たりにくい。その結果、ヘルメット内部に熱や湿気がこもりやすく、特にシールドが曇りやすい環境になりがちだ。GP-5Wはこうした状況を想定し、積極的に空気を取り込めるようインテークを多く配置することで、内部換気を確保しやすい構成になっている。
さらにGP-5Wは、シールドを装着しないピーク仕様をオプションで選択できる点も特徴のひとつだ。クローズドカーでは、シールドの曇りそのものが視界不良の原因になることがある。ピークを選択することでシールドを排し、曇りのリスクを根本から避けるという考え方ができるのは、クローズドカー向けモデルならではの発想だろう。
そしてもうひとつ、実用面で見逃せないのが、GP-5Wは頬パッドが交換式であるという点だ。ドライバーごとに顔の形や締め付けの好みは異なり、長時間走行ではフィット感が疲労や集中力に影響することもある。頬パッドを交換できることで、被り心地を自分に合わせて調整しやすく、装着感を詰めていけるのは実戦的なメリットと言える。
GP-5Wは、用途を厳密に限定した「専用モデル」というわけではない。GP-6Sと同様に幅広い競技で使用できるが、その中でもクローズドカー中心の使い方に適した方向へ寄せたモデルである。スタンダードとしての基準点がGP-6Sであるのに対し、GP-5Wはクローズドカー環境における視界、換気、そしてフィット感を重視した選択肢として位置づけられる。
比較①|視界・換気・フィット感の違い
GP-6SとGP-5Wの違いは、カタログ上の数値や装備の差というよりも、実際に被って走ったときの体感差として現れやすい。ここでは、特に影響の大きい「視界」「換気」「フィット感」という3つの観点から整理する。
視界の違い

視界という点では、GP-5WのほうがGP-6Sよりも広く、見やすさを重視した設計になっている。クローズドカーではAピラーやミラー、車内フレームによって視界が遮られやすく、ドライバーは限られた視界の中で状況判断を行うことになる。GP-5Wは、こうした環境でも周囲を把握しやすく、視線移動のストレスを抑えやすい。
一方、GP-6Sはスタンダードモデルらしく、どの競技でも違和感が出にくい視界バランスを重視している。極端に広さを主張する設計ではないが、その分クセが少なく、フォーミュラーカーのようなオープンなコクピットでも自然に使えるのが特徴だ。
換気の違い

左:GP-5W、右:GP-6S
換気性能の考え方にも、両者の立ち位置の違いが表れている。GP-5Wは、頭部インテークの数がGP-6Sより多く、ヘルメット内部に積極的に空気を取り込む構成だ。クローズドカーでは走行風がヘルメットに当たりにくく、内部に熱や湿気がこもりやすい。シールドが曇りやすい環境を前提に、換気量を確保しやすい方向に設計されている。
GP-6Sも十分な換気性能を持つが、こちらはあくまで全競技対応のバランス型だ。極端な環境に特化するのではなく、さまざまな車両・姿勢で破綻しにくい空気の流れを重視している。
フィット感の違い

フィット感に関しては、頬パッドが交換式かどうかがひとつの分かれ目になる。GP-5Wは頬パッドが交換式となっており、ドライバーの顔形状や好みに合わせて調整しやすい。長時間走行や、ヘルメットのズレが気になりやすいクローズドカーでは、この調整幅が安心感につながる。
一方、GP-6Sはスタンダードモデルとして、最初から高い完成度のフィット感を前提に設計されている。細かな調整自由度というよりも、「被った瞬間から大きな違和感が出にくい」方向性でまとめられており、競技を問わず安定した装着感を得やすい。
比較②|汎用性とクローズドカー適性の考え方
GP-6SとGP-5Wを比較する際、もうひとつ重要になるのが汎用性とクローズドカー適性をどう考えるかという視点だ。どちらも4輪競技用として高い完成度を持つヘルメットだが、使い方の前提によって評価軸は変わってくる。
GP-6Sの強みは、やはり汎用性の高さにある。フォーミュラーカーからクローズドカーまで、特定の競技や車両に強く依存せず使えることを前提に設計されているため、「どのカテゴリーでも大きな不満が出にくい」。競技を始めたばかりで今後どのカテゴリーに進むか決め切れていない人や、複数カテゴリーを行き来する可能性がある人にとって、GP-6Sは扱いやすい基準点となる。
一方でGP-5Wは、汎用性を確保しつつも、クローズドカー環境での快適性に重心を置いたモデルと言える。視界の広さ、換気量の確保、ピークという選択肢、交換式の頬パッドなど、いずれもクローズドカーで起きやすい不満を軽減する方向に効いてくる要素だ。クローズドカーでの使用が中心と決まっている場合、GP-5Wのほうが「使いやすい」と感じる場面は確実に増えるだろう。
ただし、ここで注意したいのは、GP-5Wが汎用性に欠けるヘルメットではないという点だ。GP-6Sと比べれば方向性に違いはあるものの、使える競技が極端に限定されるわけではない。あくまで基準をどこに置いて設計されているかの違いであり、両者の間に明確な上下関係があるわけではない。
考え方としては、
「まず何に使うかが決まっていないならGP-6S」
「クローズドカー中心で、その環境に合った快適性を取りにいくならGP-5W」
という整理が分かりやすい。汎用性を取るか、使用環境への適性を取るか。この選択が、そのままGP-6SとGP-5Wの選び分けにつながってくる。
どんな人にGP-6S/GP-5Wが向いているか
ここまでGP-6SとGP-5Wの違いを整理してきたが、最終的に重要なのは「自分の使い方にどちらが合うか」である。この章では、走行環境や考え方の違いから、それぞれが向いている人の傾向を整理する。
GP-6Sが向いている人
GP-6Sは、まず基準となる一つを選びたい人に向いているヘルメットだ。特定の競技に強く寄せた設計ではなく、フォーミュラーカーからクローズドカーまで幅広く対応できるため、競技歴が浅い段階でも選びやすい。
たとえば、
- 今後どのカテゴリーを主戦にするか決め切れていない人
- フォーミュラー系とクローズドカー、どちらに進む可能性もある人
- まずは「間違いのない選択」をしたい人
こうしたケースでは、GP-6Sの汎用性と安定感が安心材料になる。特にフォーミュラーカーではGP-6Sが推奨される場面も多く、将来的なステップアップを見据えた選択としても無難だ。
また、細かな調整よりも「被った瞬間から大きな違和感が出にくい」装着感を重視する人にも、GP-6Sは合いやすい。スタンダードモデルという言葉どおり、選択の出発点として成立するヘルメットと言える。
GP-6Sはスタンダードモデルという性格上、まずは価格帯や流通状況を把握しておくと選びやすい。
GP-5Wが向いている人
GP-5Wは、クローズドカーでの走行が中心と決まっている人に向いているモデルだ。視界の広さ、換気量の確保、ピークという選択肢、交換式の頬パッドなど、いずれもクローズドカー環境で効いてくる要素が揃っている。
具体的には、
- 主にクローズドカーでレースや走行会に参加している人
- シールドの曇りや車内の蒸れにストレスを感じやすい人
- 視界の広さやフィット感を細かく詰めたい人
こうした条件に当てはまる場合、GP-5Wのほうが「使いやすい」と感じる場面は多いだろう。特に、頬パッドを交換してフィット感を調整できる点は、長時間走行や体格差への対応という意味でも実戦的だ。
ただし、GP-5Wはクローズドカー専用というほど用途を限定したモデルではない。GP-6Sと同様に幅広い競技で使用できるが、その中でもクローズドカー向けに寄せた性格を持つヘルメットと考えると分かりやすい。
GP-5Wはピーク仕様など選択肢もあるため、実際の構成や価格を一度見ておくとイメージしやすい。
FAQ|よくある疑問を整理する
Q. GP-6Sでクローズドカーを走っても問題ない?
結論から言えば、GP-6Sでクローズドカーを走っても問題はない。
GP-6Sは全競技対応のスタンダードモデルとして設計されており、クローズドカーでの使用も想定されている。
ただし、クローズドカーでは走行風がヘルメットに当たりにくく、シールドが曇りやすい環境になりがちだ。その点では、視界や換気を重視したGP-5Wのほうが快適に感じる場面もある。
「使えるかどうか」ではなく、快適さをどこまで求めるかが判断の分かれ目になる。
Q. GP-5Wはフォーミュラーでも成立する?
GP-5Wはクローズドカー用と銘を打たれたモデルだが、フォーミュラーカーで使用できないわけではない。安全規格や基本性能の面で大きな問題が生じることは少ない。
ただし、フォーミュラーカーではコクピットが開放されており、視界や換気の条件がクローズドカーとは大きく異なる。そのため、フォーミュラー系カテゴリーではGP-6Sが推奨されるケースが多く、スタンダードとしての相性はGP-6Sのほうが良いと考えられる。
フォーミュラーカーを主戦とするのであれば、最初からGP-6Sを選んだほうが無難だろう。
Q. HANS用ターミナル周りはどう考えればいい?
GP-6S、GP-5WともにHANS用M6ターミナルを標準装備しており、HANSデバイスの使用を前提とした設計になっている。この点で両モデルに大きな差はない。
重要なのは、
- 使用するHANSデバイスがM6対応か
- 競技規則でHANS装着が義務か推奨か
といった運用面の確認だ。ヘルメット側の対応可否よりも、実際に使うデバイスや競技規則との整合性を優先して確認しておく必要がある。
Q. 四輪競技用ヘルメットは、どこで買うのが安心?
四輪競技用ヘルメットは、価格だけで購入先を決めてしまうと後悔しやすい装備だ。サイズ選びやフィット感の確認、万が一の初期不良やアフター対応など、購入後のサポートも含めて考える必要がある。
実店舗であれば試着やスタッフのアドバイスを受けられるメリットがある一方、通販は在庫の豊富さや価格面で魅力を感じる人も多いだろう。どちらが正解というよりも、自分の状況に合った購入方法を選ぶことが重要になる。
四輪競技用ヘルメットを購入する際の注意点や、実店舗と通販それぞれの考え方については、別記事で詳しく整理している。購入を検討する段階に入ったら、一度目を通しておくと安心だ。
まとめ|スタンダードとクローズドカー向け、どう選ぶか
GP-6SとGP-5Wは、どちらもアライの4輪競技用ヘルメットとして高い完成度を持ち、安全性能そのものに大きな差があるわけではない。違いは「どちらが優れているか」ではなく、どの使用環境を基準に設計されているかという点にある。
GP-6Sは、全競技に対応できるスタンダードモデルとしての立ち位置が明確だ。フォーミュラーカーを含め、幅広いカテゴリーで無理なく使える汎用性があり、将来的に競技が変わる可能性がある場合でも選び直しのリスクが少ない。迷ったときの基準点として、非常に分かりやすい存在である。
一方のGP-5Wは、クローズドカーでの使用を意識した方向性を持つモデルだ。視界の広さ、インテークによる換気性能、ピークという選択肢、交換式の頬パッドといった要素は、いずれもクローズドカー特有の環境で効いてくる。主戦がクローズドカーと決まっているのであれば、GP-5Wの使いやすさは確実に実感できるだろう。
最終的な選び方はシンプルだ。
- 競技の幅を優先するならGP-6S
- クローズドカーでの快適さを重視するならGP-5W
ただし、GP-6SとGP-5Wのどちらを選ぶかを考える前に、
「そもそも自分にはどんな4輪競技用ヘルメットが合っているのか」
という視点で整理しておくことも重要である。競技用ヘルメット全体の選び方や考え方については、別記事で詳しくまとめている。
ヘルメットはスペックだけで選ぶものではなく、走行環境や自分の感じ方が結果に大きく影響する装備だ。本記事で整理した考え方を基準に、自分の競技スタイルに合った一つを選ぶことが、後悔のないヘルメット選びにつながるだろう。

















コメント