モータースポーツの世界に飛び込むと、真っ先に意識が向くのはマシン選びや改造だろう。しかし、いざJAF公認レースに出場しようとすると、ドライバー自身の**「装備品」が準備できていなければスタートラインにすら立てない。しかもこの装備品は、速さに直結しないにも関わらず「出費の壁」**として初心者の前に立ちはだかる。
この記事では、JAF公認レースに必要な8種類の装備品と、その選び方のポイント・費用感・メーカー選びまで徹底的に解説する。
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必須装備品は全部で8種類
JAF公認レースに出場するために揃えるべき装備品は以下の通りだ。
- 競技用ヘルメット
- HANS(頭部および頸部保護装置)
- レーシングスーツ
- アンダーウェア(シャツ・パンツ)
- バラクラバ(フェイスマスク)
- ソックス
- レーシングシューズ
- レーシンググローブ
これらをひと通り揃えると、合計約30万円ほどの出費となる。初めてその金額を見た人は「えっ、これだけでそんなに!?」と驚くだろう。だが、どれも万が一の事故時に命を守るための最前線であり、安全面を考えれば妥協はできない。
各装備品の価格相場と選び方
1. 競技用ヘルメット|頭部を守る最重要アイテム
- 価格相場:6万円前後
- 選び方のポイント:
- 試着は必須。通販での購入は避けたほうがいい。
- 日本人向けのフィット感ならアライが定番
- 製造から10年以内が使用可能。できるだけ新しい製品を選ぶ
さらに、カラーリングを施したりステッカーを貼って**「自分色」にカスタマイズ**するのもおすすめだ。ヘルメットは最も身近でありながら、もっとも大事に扱うべき装備品だからこそ愛着を持ちたい。
2. HANS(ハンス)|首への衝撃を軽減する命綱
- 価格相場:5.5万円
- 選び方のポイント:
- ツーリングカーなら20°モデルが標準
- 樹脂製(安価・やや重め)かカーボン製(高価・軽量)を選択
- 首周りのサイズ確認を忘れずに
「ヘルメットとハンスはセットで考えるべき」と言われるほど、両者の相性は重要である。
3. レーシングスーツ|火災時に体を守る鎧
- 価格相場:7万円〜
- 選び方のポイント:
- 試着必須。特に腕・足はゆったりめ、胴はぴったりが理想
- エントリーモデル(7万円台)でも十分
- 真夏の暑さ対策にはミドルグレード(10万円〜)も検討
レーシングスーツは最も高価な装備品のひとつ。しかも体型変化に敏感なため、**「体型維持」**が長期使用のカギになる。
4. アンダーウェア|目立たないが重要な難燃インナー
- 価格相場:3.5万円(セット)
- 選び方のポイント:
- モノによって生地の厚みが異なるので実物を見ずに買うのは危険
- 通気性と薄さを重視したい
近年のJAF公認レースでは、アンダーウェアの着用が事実上義務化されつつある。「推奨」とされていても、持っておくのが無難だ。
5. バラクラバ(フェイスマスク)|ヘルメットの保護にも必須アイテム
- 価格相場:1万円
- ポイント:
- 汗や摩擦からヘルメット内装を守る
- 内装修理の手間を考えると、消耗品として定期的に買い替えたい
6. ソックス|足首を炎から守る重要アイテム
- 価格相場:1万円
- ポイント:
- FIA公認の難燃素材
- 小物だからこそ、予備を1足持つとレース当日の安心感が違う
7. レーシングシューズ|ペダル操作の感覚を支える
- 価格相場:3万円
- 選び方のポイント:
- 近年はローカットモデルが主流
- ソールは「押しに硬く、曲げに柔らかい」が理想
- ピットでは履き替えを徹底。これだけで寿命が大きく伸びる
8. レーシンググローブ|手とステアリングの唯一の接点
- 価格相場:2.5万円
- 選び方のポイント:
- 滑り止めのハンドルとの相性確認のため、ハンドル持参で試着がおすすめ
- 外縫いタイプが操作性(ダイレクト感)に優れ、内縫タイプはクッション性が優れる。
- プロテクター付きはフォーミュラ向け
合計費用と心構え
装備品 | 価格相場 |
---|---|
競技用ヘルメット | 約6万円 |
HANS | 約6万円 |
レーシングスーツ | 約7万円 |
アンダーウェア | 約3.5万円 |
バラクラバ | 約1万円 |
ソックス | 約1万円 |
レーシングシューズ | 約3万円 |
レーシンググローブ | 約2.5万円 |
合計 | 約30万円 |
この金額を見て「高い」と感じるかもしれない。しかし、これらはすべて**「自分を守る投資」**である。車両やエンジンは買い替えられるが、命はそうはいかない。
まとめ|装備品の準備はレースへの最初の難関
装備品を揃えることは、レース参戦への最初の関門であり、同時に最初のステップでもある。これらをしっかり選び、フィット感や品質にこだわることで、走行中の集中力も高まるだろう。
次回は**「装備品メンテナンスと長持ちさせるコツ」**を解説予定だ。高価な装備品だからこそ、日々のケアで寿命を延ばし、結果としてコストダウンにつなげたい。
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