サーキットライセンスを取得してフリー走行やタイムアタックを楽しんでいると、「次はレースに出てみたい」と思う瞬間が訪れるだろう。そんなとき、JAFライセンスがなくても参加できる本格レースとして注目したいのが「耐久レース」である。
この記事は「マイカーでモータースポーツ入門」シリーズの続編として、自家用車で参加できるアマチュア耐久レースの魅力と始め方について詳しく紹介していく。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
耐久レースとは?|仲間と走り切る長距離バトル
耐久レースとは、長時間もしくは長距離を複数人のドライバーで交代しながら走り続け、規定時間内での周回数や完走を競う形式のレースである。
短いもので1時間、長いもので6時間や24時間といったイベントも存在し、レース中はドライバー交代のタイミングや燃料管理、マシンのトラブル対応など、戦略性も問われる。
JAFの競技ライセンスが不要なアマチュア耐久レースも多く、自家用車(ナンバー付き車両)とサーキットライセンス、安全装備があればエントリー可能なイベントが全国各地で開催されている。
完走したときの達成感|チームで挑むレースの感動
耐久レースの最大の魅力は、何といっても完走したときの達成感である。
サーキット走行とは異なり、耐久レースではトラブルやミスを乗り越えながらゴールを目指す過程にドラマが生まれる。全員が交代で走行し、ピット作業も含めて全力を尽くした先にあるフィニッシュラインには、言葉では言い表せない感動がある。
「勝った負けた」以上に、「走り切った」という体験が強く心に残る。それが耐久レースの醍醐味である。
質より距離|初心者こそ長時間走行で上達できる
耐久レースでは、通常のスポーツ走行よりも遥かに長い時間マシンに乗ることができる。
例えば4時間耐久レースを3人で走れば、1人あたり1時間以上の走行が可能である。連続での走行時間も長く、体力や集中力のトレーニングにもなる。
加えて、単独走行ではなくレース形式で他車と競り合いながらの走行となるため、追い越し・防御といった実戦経験も積める。「速さ」よりも「距離」を重ねることで、ドライビングスキルの底上げにつながるだろう。
他のドライバーと比較できる|実力を知る絶好の機会
耐久レースでは同じマシンを複数人でシェアして走ることが一般的である。そのため、自分以外のドライバーのラップタイムや走行スタイルを間近で見ることができる。
速いドライバーと同じチームで走れた場合、自分の課題が浮き彫りになることも多く、今後の練習の方向性が明確になる。
車載映像やデータロガーを活用すれば、走行ラインやブレーキングポイントの違いも分析できるため、学びの材料として非常に有効である。
チームで出場するメリット|仲間と支え合う体験
耐久レースはチーム競技である。ドライバー、ピットクルー、マシンメンテナンスを支えるスタッフなど、複数人で協力して完走を目指すスタイルは、ひとりで挑むタイムアタックやフリー走行とはまったく異なる魅力を持つ。
サーキットで顔見知りが増えてくると、チームへの勧誘を受けることもあり、思っているより参加へのハードルは高くない。仲間と共にレースに挑む経験は、モータースポーツの新たな面白さを教えてくれるだろう。
安全面と難易度|初心者でも安心して挑戦できる理由
耐久レースはスプリントレースのような接近戦よりも車間が空きやすく、ペースを抑えてでも完走を目指す傾向があるため、実は初心者にも安全性の高いレース形式である。
また、チーム戦という特性上、自分ひとりで全責任を負うことが少なく、プレッシャーも分散される。無理せずマイペースで走ることが推奨される場面も多く、初めてのレースデビューとして適している。
参加方法と必要な装備|気軽に始めるための準備ガイド
耐久レースへの参加は意外とシンプルである。全国のサーキットでは初心者歓迎の耐久イベントが定期的に開催されており、主催者のWebサイトやSNSからエントリーできる。
必要な装備は以下の通りである:
- ヘルメット(JIS規格以上推奨)
- グローブ(革製、指先まで覆うもの)
- 長袖・長ズボン(レーシングスーツでなくても可な場合あり)
- ドライビングシューズ(できれば)
- 四点式シートベルト(主催によっては必須)
費用はチームで割る形が一般的で、自車参加型であれば1人あたり2万円〜5万円ほどが相場となる。装備もレンタル可能なケースが多いため、初心者でも安心して参加できる。
耐久レースの種類|どんなイベントがある?
耐久レースにはさまざまな形式がある。
代表的なイベントには以下のようなものがある:
- 【ナンバー付き車両可】K4-GP、アイドラーズ12時間耐久など
- 【エコラン系耐久】ハイブリッド車や低燃費車限定イベント
- 【JAF公認以外の長時間レース】各地のローカルサーキットで開催される草耐久
まずはマイカーで参加できる耐久イベントから挑戦し、自信がついたら本格的な装備を整えて中長距離レースに挑むステップアップが可能である。
次のステップ|JAF競技ライセンスが必要なレースへ
マイカーで参加できる耐久レースを経験すると、「もっと本格的なレースに挑戦してみたい」と感じる人も多いはずである。その次のステップとして、JAFが発行する競技ライセンスを取得し、公式競技会への参加を目指す道が開けてくる。
JAF公認のスプリントレースやサーキットトライアルでは、より明確なルールとレベルの高いライバルたちとの真剣勝負が待っている。さらに深くモータースポーツを楽しむために、ぜひ次の記事「JAFライセンスを取得して本格レースに挑戦しよう」もチェックしていただきたい。
まとめ|耐久レースは“完走”がゴールでありスタート
耐久レースは、初心者でも挑戦しやすく、得られる経験値が非常に大きいレース形式である。
長時間の走行で技術と体力を磨き、チームでの連携を学び、完走の感動を味わう──すべてが次のステップへとつながっていく。
モータースポーツをより深く楽しむためにも、まずは1度、マイカーで参加できる耐久レースに挑戦してみることを強くおすすめしたい。
そして、耐久レースでの経験を積んだ先には、さらに本格的な舞台が待っている。次回は、JAF競技ライセンスを取得し、公認レースに挑戦するためのステップを紹介していく。
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