F1ファンのSNSタイムラインがざわついた 先週からSNSのタイムラインに、映画館に足を運んだ投稿が目立ってきた。私のフォロワーはほぼ全員がレース好きかクルマ好き。そんな彼らが揃って見に行く映画とは──そう、「映画F1(エフワン)」である。
「F1見に行く」と聞けば、レース観戦なのか映画鑑賞なのか一瞬戸惑う。タイトルの付け方には少し疑問が残るものの、SNS上の評判が非常に良かったため、当初の予定を変更して急遽劇場へ足を運ぶことにした。
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映画『F1(エフワン)』をおすすめしたい人
- F1が好きでレースの世界観を映画で味わいたい人
- モータースポーツは詳しくないが、映画が好きな人
- ハリウッド的なスポ根ストーリーを楽しみたい人
観に行くのを阻止しなければいけない人達
- F1のリアリティに異常にこだわる“厄介オタク” と “ティフォシ”
あらすじ(ネタバレなし)
物語の主人公は、伝説のF1ドライバーであるソニー。すでに引退していた彼が、とあるチームの再建と若手ドライバー・ジョシュアの育成というミッションを託され、再びサーキットに戻るところから始まる。
経験豊富なベテランと若き才能の対立と成長という、ある意味で王道の物語。だが、そのテンプレ感が逆に安心感を生み、誰でも観やすい構成となっている。個人的にハリウッド映画のテンプレ物語は好きなほうである。
冒頭10分で完全に引き込まれた
ハリウッド映画のテンプレートをなぞった作品だろう、と高を括っていた私だが、冒頭10分のレースシーンで一気に持っていかれた。映画料金の元は、あの10分で回収できたと思う。あの迫力と臨場感はハリウッド映画ならでは。日本のレースアニメもこの映画を参考に参考にもっと頑張ってもらいたい。
音と振動のリアリティが凄まじい
この映画は、絶対に映画館で観るべきだと断言する。理由は“音”である。エンジン音やスキール音はもちろん、縁石に乗った時の振動、スライド寸前のタイヤ挙動など、走った経験がある者であればゾワッとするリアルな音響演出が満載。
実在サーキットとリアルF1マシンの融合
物語の舞台は実際のF1グランプリコース。映像はおそらく既存のF1映像と映画用の撮影素材を巧みに合成しており、映画用マシン(おそらくF2ベース?)も違和感なく溶け込んでいる。本当に21台目と22台目のF1マシンがレースに出ているように錯覚する。 ただし、主人公チームのマシンだけはややチープさが見えてしまうにはしょうがないかな。まあ、F1に精通していなければ気にならないレベルだろう。
本物のF1関係者が登場するニヤリ要素
サプライズだったのは、現役F1ドライバーやチーム代表の“カメオ出演”。ドライバーもハミルトンやアロンソおじさんはしっかり出てくるし、タッペンやノリスはフォーカスされるシーンも多い。出てくるのはドライバーだけかと思ったら、チーム代表はセリフ付きで芝居をしており、F1ファンなら思わずニヤリとさせられる。これはぜひ字幕版で楽しんでもらいたい。
F1の厄介オタクは絶対に見てはいけない
私でも映画を観ながら「いやそれは無いだろ」と思うシーンがいくつかあった。しかし、これはフィクションだと割り切れないと楽しめない。実在の人物が出てくるからこそ脳が混乱するが、あくまで“架空のF1”として観るべき作品である。リアリティの無さをネチネチ指摘ししそうな人がこの映画を見に行く時には全力で止めなければいけないと思っている。あと映画のメインスポンサーがメルセデスっぽいので、フェラーリの出番は驚くほど少ないのであしからず。
今のF1の悪い所が凝縮されている
この記事はネタバレなしで書いているので、物語に重要なシーンについては言及ができないけれども、レースの重要シーンで必ず「接触」「クラッシュ」「黄旗」「セーフティカー」「赤旗」になるのは、今のF1の悪い所が凝縮されていると言わざるをえない。言い方を変えると今のF1でレースが面白くなるのが「接触」「クラッシュ」「黄旗」「セーフティカー」「赤旗」だけと言われているようなものである。レースの面白さってのは、そういう所じゃないだろ!と私は強く思う。これは映画の内容が悪いわけじゃなくてF1・・いやリバティメディアが悪い。
まとめ|映像と音響は映画館に行く価値あり
この映画は、F1ファンにとっては“あるあるネタ”満載の作品であり、映画ファンにとっては手堅くまとまったスポーツヒューマンドラマといった感じ感じだ。映像・音響に関しては特筆して素晴らしいので、気になっている人は是非とも映画館に見に行ってもらいたい。
リアリティを追い求める人には不向きかもしれないが、F1という題材をエンタメとして昇華させた面白い作品である。
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