FIA公認装備品とは?
モータースポーツで使われる「FIA公認装備」とは、FIA(国際自動車連盟)が定めた厳格な安全基準を満たした装備のことを指す。火災や衝突などの緊急事態からドライバーの身体を守るために設計されており、FIAの試験に合格した製品には「FIA認証ラベル」が付与される。
特にJAF公認のレースやラリーなどスピード系競技では、FIA公認装備の着用が義務づけられているケースが多く、安全性を確保する上で欠かせない存在となっている。
FIA公認装備品の主な種類と役割
これからモータースポーツを始める初心者が揃えておきたいFIA公認装備は以下の通りである。
レーシングスーツ
全身を難燃素材で覆うスーツ。FIA8856-2018規格などに準拠し、高い耐火性能が求められる。
ヘルメット
頭部を保護するための装備で、FIA8859-2015やFIA8860-2018といった厳しい衝撃試験をクリアしたモデルが対象となる。
グローブ
手の火傷を防ぐと同時に操作性を確保。ステアリングの感触を損なわない設計が特徴。
シューズ
火から足元を守りつつ、繊細なペダル操作を可能にする設計。耐火性とグリップ性が重要視される。
アンダーウエア(インナー)
スーツの下に着用する難燃性インナー。火傷のリスクを最小限に抑える役割を持つ。
ソックス
耐火素材で作られた靴下。足元の保護という観点からも着用が推奨される。
バラクラバ(フェイスマスク)
顔や首回りを保護するインナー用耐火マスク。ヘルメットの下に装着することで安全性を高める。
HANSデバイス
クラッシュ時に首が激しく前後に動くのを防ぐ頸部保護装置。ヘルメットと連動して使用する。
競技別に見るFIA公認装備品の必要性
競技種目 | ヘルメット | スーツ | グローブ | インナー | ソックス | シューズ | バラクラバ | HANS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
走行会 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 |
ジムカーナ | 推奨 | 推奨 | 推奨 | 任意 | 任意 | 推奨 | 任意 | 任意 |
ダート トライアル | 推奨 | 推奨 | 推奨 | 任意 | 任意 | 推奨 | 任意 | 任意 |
ラリー | 必須 | 必須 | 必須 | 推奨 | 推奨 | 推奨 | 推奨 | 推奨 |
サーキット レース | 必須 | 必須 | 必須 | 推奨 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
※主催者によって装備の基準が異なる場合があるため、イベント参加前に公式レギュレーションを確認すること。
FIA認証ラベルの見方と注意点
すべてのFIA公認装備には「FIA認証ラベル」が縫い付けられている。このラベルには装備の規格(例:FIA8856-2018)と有効性を示す情報が記載されており、競技車検で確認されることもある。
- スーツ:首元の外側
- ヘルメット:内装の奥
- グローブ・シューズ:外側に縫い付け
使用前には、必ずこのラベルが正規のものであるかをチェックしておく必要がある。
装備の有効期限と買い替え目安
FIA公認装備には有効期限が設定されているケースもあり、以下のような基準が一般的である。
- ヘルメット:製造から10年以内
- スーツ・グローブ・シューズ類:5〜10年程度が目安
中古品を使用する場合でも、FIAラベルの有無や装備の劣化具合を確認することが求められる。
装備一式にかかる費用と購入方法
装備項目 | 価格帯(新品) |
ヘルメット | 4〜15万円 |
スーツ | 5万円~ |
グローブ | 1万円~ |
シューズ | 2万円~ |
アンダーウエア | 1.5〜4万円 |
ソックス | 0.5〜1万円 |
バラクラバ | 0.5〜1.5万円 |
HANSデバイス | 5〜15万円 |
購入先例
- モータースポーツ専門ショップ(実店舗)
- サーキット併設の売店
- 国内・海外の公認オンラインストア
まとめ|FIA公認装備は安全と信頼の証
FIA公認装備は、ドライバー自身の安全を守るとともに、モータースポーツ全体の信頼性と公平性を支える存在である。
これから競技にチャレンジしたい初心者は、ヘルメット・スーツ・グローブといった基本装備から徐々に揃えていくとよい。競技レベルに応じて、アンダーウエアやHANSデバイスなどの追加装備を導入することで、安全性とパフォーマンスの両立が可能となる。
安全が確保されてこそ、本気で走る楽しさを味わえる――FIA公認装備は、その第一歩となる。
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