春の訪れともに、各携帯キャリアがこぞって新料金プランを発表してきた。今や通信費は、家計における“固定費”の代表格であり、節約を考える上で避けては通れない存在である。自分も通信費をいかに抑えるかは常日頃から意識しているテーマであり、料金プランの見直しはもはやライフワークの一部となっている。
そんな中、ドコモから新たに発表された「ドコモMAX」という料金プランが目に留まった。このプランの最大の特徴は、スポーツ映像配信サービス「DAZN」の視聴権が標準で付いてくるという点である。最初に聞いたときには「どうせ割引で安く見せかけているだけの罠だろう」と疑ったが、細かく検証していくうちに「一部のユーザーにとっては十分にお得」とも思える内容であることが分かってきた。
特に、以下のすべてが当てはまる人にとっては魅力ある選択肢となりうるだろう。
- DAZNのヘビーユーザー
- 自宅のインターネット固定回線を解約して節約したい人
- 固定回線を解約するためにスマホ通信容量を無制限にしたい人
では、なぜこうした結論に至ったのか。その理由を順を追って解説していこう。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
ドコモMAXの料金設定
まずは基本となるドコモMAXの料金体系を見ていく。
データ使用量 | 月額料金(税込) |
~1GB | ¥5,698 |
1GB超~3GB | ¥6,798 |
3GB超~無制限 | ¥8,448 |
割引が無いとビックリするほど高額となっている。
各種割引が適用された場合は以下のとおりである。
- みんなドコモ割(3回線以上):-¥1,210
- 長期利用割(利用20年以上):-¥220
- dカードお支払割:-¥550
- ドコモ光セット割:-¥1,210
- ドコモでんきセット割:-¥110
合計で最大¥3,300の割引が入る計算となる。よって、割引後の料金は以下の通りだ。
データ使用量 | 割引後月額(税込) |
~1GB | ¥2,398 |
1GB超~3GB | ¥3,498 |
3GB超~無制限 | ¥5,148 |
ここでひとつ指摘しておきたいのは、「すべての割引を適用できる人がどれほどいるのか」という疑問である。dカードGOLDや家族回線数、固定回線の有無など、条件がかなり厳しい。結局、多くの人にとっては“割引無し”の料金が現実的な目安になるだろう。
DAZNの料金体系
次にDAZNの料金も見ておこう。
プラン | 月額(税込) | 年額(税込) |
DAZN for docomo | ¥4,200 | ¥50,400 |
DAZN 月額プラン | ¥4,200 | ¥50,400 |
DAZN 年間プラン(月々) | ¥3,200 | ¥38,400 |
DAZN 年間プラン(一括) | ¥2,666 | ¥32,000 |
DAZNは携帯キャリアを介さずに直接契約する場合、年間プランにするだけで月1,000円以上の差が生まれる。一括払いであればさらに安くなる。自分も現在は年間プラン(一括)を活用しており、裏技でさらに安く視聴している。その具体的な方法は別記事で紹介しているので、そちらも是非読んでもらいたい。
ドコモMAXは欠点ばかり
割引をフル適用するのは至難の業
まず最大の欠点は、割引を全て適用するための条件が非常に厳しいことである。例えば、dカードGOLDは年会費1万円が必要で、割引目的だけで契約するのは本末転倒である。自分としては明確な理由がない限り加入はおすすめできない。
小容量通信時のコスパが最悪
ドコモMAXのもうひとつの問題点は、通信量が少ないときのコスパが悪すぎることだ。
データ使用量 | ドコモMAX (割引前) | ドコモMAX (割引後) | 日本通信 | povo |
~1GB | ¥5,698 | ¥2,398 | ¥290 | – |
~3GB | ¥6,798 | ¥3,498 | ¥730 | ¥990 |
これを見ると、割引後と比較しても格安SIMの方が圧倒的に安いことが分かる。たとえDAZNが付いてくると言っても、それだけで割高な通信費を正当化するのは無理があると思われる。
家族で契約するとむしろ損?
DAZNは1アカウントでデバイス2台まで同時視聴が可能であるため、家族全員が個別に契約する意味はほぼ無い。
【比較例】
- ドコモMAX(1GB・割引後)×3回線 → ¥7,194
- 日本通信(1GB)×3回線 +DAZN年間プラン(月々払い) → ¥5,070
このように、格安SIMにDAZNの個別契約を組み合わせれば約2,000円以上の差が生まれる。家族3人でドコモMAXを契約すると、むしろ割高になるのが現実である。
唯一の利点:ドコモ回線でデータ無制限
ドコモMAX最大のメリットは、ドコモ回線でデータ通信が無制限に使える点に尽きる。しかも、テザリングを含めて完全な無制限という点は非常に魅力的である。これは大手4キャリアの中でも、ドコモと楽天モバイルのみが実現している仕様となる。
たとえば、一人暮らしのユーザーで、固定回線を引いているにも関わらず自宅ではwifi接続でスマートフォンで動画を見るのがメインという人にとっては、ドコモMAXが固定回線の代わりになりえる。
ahamo & 楽天との比較
では実際に、他社のプランと比較してどの程度の差が出るのかを見てみよう。
プラン | スマホ料金 | 固定回線 | DAZN年間プラン (月々払い) | 合計 |
ドコモMAX (割引無し) | ¥8,448 | スマホ回線 に一本化 | スマホ料金 に含まれる | ¥8,448 |
ahamo(~30GB)+光回線 | ¥2,970 | ¥5,610 | ¥3,200 | ¥11,780 |
楽天(~3GB) +光回線 | ¥1,078 | ¥4,180 | ¥3,200 | ¥8,458 |
このように比較すると、楽天とほぼ同価格、ahamo構成よりも3,000円以上安くなる。念を押しておくがドコモMAXの割引無しの価格と比較して割安な計算だ。これが「固定回線を解約できる人」にとってのメリットになる。
楽天モバイルの電波は不安定
楽天モバイルには電波の不安定さという致命的なデメリットがある。自分も半年間楽天モバイルを使ってみたが、月に1〜2回、建物内や地方で圏外になる経験をした。これでは、メインの通信回線を楽天モバイルに任せるのは不安と言わざるをえない。安心・安定のドコモ回線で無制限にデータ通信を行えるのは最大のメリットとなる。
スマホ回線一本化のリスク
もちろん、スマホ回線一本化にはリスクもある。たとえば、大容量ダウンロードや、複数のデバイスが同時にWi-Fiを使う環境では限界がある。その他にスマートフォンのバッテリー消耗も激しくなり劣化の原因にもなる。ある程度の不便は覚悟する必要があるが、年間で3万円もの節約ができるなら一考の余地はあるだろう。
まとめ
今回紹介した「ドコモMAX+DAZN for docomo」は、万人向けのプランではない。だが、一定条件を満たす人にとっては、有力な選択肢となり得る。
とくに、「DAZNでF1を絶対に見たい」「固定回線をやめてスマホ回線に一本化したい」と考える人にはメリットが大きい。割引無しの8,448円が妥当かどうか、そこが判断の分かれ目となるだろう。
もしこのプランが3年前に発表されていたら、当時の私なら固定回線を解約していた可能性は高い。しかしながら、今は1人暮らしでは無いし、DAZNを更に安くする裏技を実行しているため、ドコモMAXを契約することは無い。
この記事が、あなたのDAZNライフと通信費の見直しの参考になれば幸いである。
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