ダートトライアルは、未舗装路面を舞台にした日本独自のモータースポーツである。砂埃を巻き上げながら全開走行する迫力と、滑りやすい路面に合わせてマシンをコントロールする緻密な技術が試される競技として、多くのファンを引きつけている。JAF公認コースで気軽に参加できる点も魅力で、初心者の入門から上級者の競技まで幅広く楽しまれている。
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ダートトライアルとは？
ダートトライアルとは、砂利・土・泥などの未舗装路に設定された特設コースを1台ずつ走行し、タイムを競うタイムアタック形式のモータースポーツである。日本各地のJAF公認ダートコースで年間を通じて開催されており、地方選手権から全日本選手権まで幅広いレベルの大会が整備されている。
元々はラリー開催が難しかった時期に“代替競技”として発展し、1970年代には「ダート・ジムカーナ」と呼ばれていた。現在では独自のルール・車両規定が整備された正式なJAF公認カテゴリーとして確立されている。
ダートトライアルの特徴｜迫力と繊細さが共存する競技
砂塵を高く巻き上げる豪快な走りはダートトライアル最大の魅力である。一方で、未舗装路は非常に滑りやすく、ドライバーはスライド姿勢のコントロールや限られたグリップの使い方を細かく調整しなければならない。
各大会では1〜2分程度のコースを2本走行し、ベストタイムや合計タイムで順位を決定する。わずかなミスが順位を左右するため、集中力と再現性の高いドライビングが求められる。
使用車両とクラス分け｜レベル別に楽しめる
ダートトライアルに使用される車両は、JAFが定める車両規定に基づいて複数のクラスに分類されダートトライアルではJAF規定に基づき、車両は複数のクラスに分けられる。
- PN/Nクラス：市販車ベースで改造範囲が最も狭い入門向けクラス
- SAクラス：一般車検の範囲内で比較的自由に改造できる中級者向けクラス
- Dクラス：改造範囲が広く、排気量区分もないトップカテゴリー
特にDクラスの車両は圧倒的な加速とスライド量が魅力で、多くの選手が最終目標としている。
コースの特徴｜路面変化が走りを決める
コースは自然地形を活かした未舗装路で構成され、砂利・土・泥など場所によって特徴が大きく異なる。タイトなヘアピンや高速セクション、時にはジャンプポイントが用意されることもあり、コースによって求められる技術は変化する。
季節ごとの路面変化もポイントである。
- 夏：ドライでハイスピード
- 春秋：マディ（ぬかるみ）で滑りやすい
- 冬：雪上ダート（スノートライアル）
特に北海道のスノートライアルは、全国でも珍しいJAF公認の雪上競技として人気が高い。
観戦の楽しみ方｜初心者にも適した迫力ある競技
ダートトライアルは観戦スポーツとしても魅力的で、スタート地点やタイトコーナーは特に見ごたえがある。砂埃を避けるため、観戦時は以下の装備がおすすめである。
- マスク・サングラス
- 防寒着・レインウェア
- 長靴や汚れてもよい靴
カメラ撮影との相性も良く、砂煙を切り裂いて走る車両は迫力満点の被写体となる。
必要なライセンスと装備｜安全に参加するために
参加には JAF国内Bライセンス が必要で、全国各地で開催される講習会を受講するだけで取得できる。
車両には以下の安全装備が義務付けられている。
- ロールケージ
- 4点式以上のシートベルト
- バケットシート
- アンダーガード など
これらの装備はドライバー保護と競技全体の安全性向上に欠かせない。
- ▶関連記事：「国内Bライセンスとは？」
初心者の始め方｜まずは練習会から体験
初めての人がいきなり競技車両を用意する必要はない。各地のコースやショップでは練習会が開催されており、レンタル車両での体験走行や、上級者の助手席で走行を学べる同乗体験が用意されている。
最新のイベント情報は、地域の モータースポーツクラブ や JAF公式サイト で確認可能である。
費用感とステップアップの流れ
- 練習会（レンタル車両）：約1万円〜
- 中古競技車：50万円前後〜
- 必要装備（ヘルメット・スーツなど）：約10万円〜
競技参加を積み重ねれば、地方選手権→全日本選手権へと段階的に挑戦でき、生涯スポーツとして長く楽しめるカテゴリーである。
- ▶関連記事：「レーシングギヤ選び方」
日本独自のモータースポーツ文化
ダートトライアルはFIA公認カテゴリーには存在せず、日本独自の発展を遂げたモータースポーツである。全国でシリーズ戦が開催され、地域のモータースポーツ文化としても定着している。
まとめ｜誰でも挑戦できる未舗装のタイムアタック競技
ダートトライアルは、未舗装路面というフィールドで派手な走行と繊細な技術が交錯する、奥深いモータースポーツである。ドライバーはもちろん、観戦者にとっても見ごたえのある競技であり、日本独自の文化として成長を続けている。
初心者でも無理なく始められ、練習を重ねれば上級カテゴリーへと挑戦できる懐の深さが、この競技の最大の魅力である。
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